吉田恵輔監督作品は初めて観たが、人物同士のやり取りや距離感に生々しさを出すのが凄く上手い人なんだなぁと思った。記憶に無いが間違いなく自分の母親である女性と再会した麦子の不器用な対応はそれの最たるものだと思うのだが、個人的にはダメキャラ的な麦子の兄がふと見せる感情の崩れが印象深い。堀北真希は今風な若者の麦子と純粋に夢を追う母親の昔の姿を二役で演じているが、とても魅力的。これは彼女の代表作になると思う。最終的にこの二つが重なるように感じるのは、二人が血で繋がった「親子」であるということが伝わったからだろう。丁寧な人物描写からの『赤いスイートピー』の破壊力が尋常ではない。
