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麦子さんとのLのネタバレレビュー・内容・結末

麦子さんと(2013年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

vol.018
喉の奥が痛くなる映画でした。
母娘像がもう心当たりありすぎて、苦しくなる。
わたしも、母のことあの人、としか呼べない時期があったしなんなら今だって上手に関係を築けてないので、きつかった。
親の心子知らず、子の心親知らず、
はいつの時代も変わらないんだなあと思う。
ただ、いつも思うけどこの手の映画って親の心子知らずの方にスポット当てすぎじゃないですか?
親のことをそんな風に思ってしまうのには必ず原因があるんだから、
わたし子どもだった、悪いことした、、
って終わっていくのなんだか納得いかない。そう思うのはまだわたしが子どもなのかな。
正座して畳に座って何かを訴えるような母の背中を思い出した。

散々ほうっておいたのに、自分のタイミングで寄ってきて、勝手に人のもの捨てるわ自分宛じゃない封筒開けるわ、無神経が過ぎるのに、自分で間違いは誰でも犯すとか言っちゃだめだよね〜。
それ、間違えた側が言うことじゃないから。
でも、麦子さんがひどいこと言っても悲しい顔しながら笑って受け流そうとする母の姿勢や、夢のために使ってねとメモを残すあたりが、すごく苦しくなる。
もどかしい。そんないきなり素直になれないし溝を埋めていくなんて出来ないよね。
よその母親とのほうが自然と親子できてしまうのも分かるなあ。背負うものがない、いいところだけ見てられるからなんだけど、この人がお母さんだったらなとか思ってしまうのもすごく分かる。

松田龍平さんすごいなー、まほろの時と全く雰囲気が違くて、ダメ兄貴で自然と存在している。
声も姿勢も全然違うし、なんなら身長すら違って見える。一体なにをどういう風に落とし込んだらそんなふうに存在できるのか…。
温水さんの気持ち悪さもさすがだった。
足先まで抜け目なく気持ち悪いけど、
いちばんは麦子さんを迎えにきたときに
脇の臭いを確認してるところ。
元ストーカーの名残をもって存在していて、これまた凄いとしか言えない。
あと、散々麦子ちゃん麦子ちゃん言ってたのにお酒飲んでヒートアップした麦子さんを諭すときがまた気持ち悪かった。
散々言い寄ってたのに説得力ないわ!!!って絶対わたしなら思ってしまう。
言ってることは正論でも。
岡山天音さんのダメ息子っぷりも好きでした。
何はともあれ作品をみるたび役者さんのすごさを実感する。

あと、日常の些細な笑いみたいなちょっとしたクスリポイントも良かった。


他の人のレビューも見ながら、YUIさんのto motherを思い出した。
いつもこれ聴くと母のこと考えて苦しくなるんだけど、この映画にもすごく合うなと思いました。勝手に。
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