TK0711

MAMAのTK0711のレビュー・感想・評価

MAMA(2013年製作の映画)
4.2
MAMA

ギレルモが天才。
要所要所にギレルモっぽさがちりばめられていて、
驚いて声が出たところもあったが、
その見せ方に感心してしまい思わず「お、おぉぉお…」ともらしてしまった。

ギレルモ特有の少し陳腐なモンスターの容姿。
ストップモーション的な表現。
異世界の描き方。
おとぎ話のようなBGMとのギャップ。

どれもギレルモ天才かよ…と。

内容は、
母性と子供の母親に対する無条件の愛。

大雑把に言うと、
母と父を失った二人姉妹が山奥の小屋で、
MAMAたる人外のなにかに5年間育てられる。
それをやっとの気持ちで見つけ出した、二人姉妹の叔父とその彼女アナベル。
しかし二人は社会性をすでに失っていた。
二人は家族を持った経験がないが、一生懸命この二人を面倒見ることにする。
しかし、その二人を山奥で育てたMAMAがそれを許さない。。。

妹リリーは本当に小さいときに両親を亡くし、
実の親の存在について、親のあるべき姿について、
人生を通して知ることが出来なかった。
だから最後までMAMAを母親と思えたんだと思う。
リリーにとってはMAMAとの絆こそが親子だったのかと。

一方ヴィクトリアは、
リリーと違い父親・母親との記憶もあり、
父親を奪ったのはMAMAであることもおそらく感づいている。
しかし保護してくれるだれか、
心のよりどころとしてのMAMAであったのかなと。

また遭難早々に眼鏡をなくしており、
結構きつい近眼な彼女はMAMAの容姿をうまく把握できていなかった。
それが発見され、ルークとアナベルに保護されると眼鏡を与えられ、
初めてMAMAを目の当たりにした。
その時ヴィクトリアはMAMAが人外の存在であることを認識できたのかと。
アナベルの愛情と比較をし始めるとその裏には暗い何かがあることを察する。

アナベル母性の目覚め、MAMA母性の暴走、ヴィクトリア自立心の芽生え、
リリー親への忠誠。
ここに映画のメッセージが込められていると思う。

結論、MAMAは昔々の子供に対する未練をリリーとヴィクトリアに投影していたのだが、
最後昔々の子供の遺骨をぶん投げてリリーたちを追ってくるのは驚いた。
でもこの演出結構好きで、
ホラーが一皮むける瞬間ってこういう説明がつかない不可解さが出たとき。
キャラクターの行動がストーリーとつじつまが合わなくなってきた時。
もう何しでかすかわからねぇ!ってなったとき。本来感情としての「怖い」ってそういうことだから。

作品としてすごく好きになった一本。
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