まえだ

今日子と修一の場合のまえだのネタバレレビュー・内容・結末

今日子と修一の場合(2013年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

東日本大震災によって人生が変わった二人の話。今日子サイドの話はちょっとフィクション感強めだったけど、人生いろいろあるよなぁと思った。
話にそこまで盛り上がりがあるタイプの映画ではないし、誰かがすごく幸せになる終わり方でもない。
ただ、震災の時の不安な気持ちを思い出したり、震災直後の東北の街並みや人の様子が伺えて、自分のなかで少し気持ちが動くきっかけにはなった気がした。

上司や取引先に体を求められるとか、父親に我慢できなくて殺してしまうとか、自分とはかけ離れた人生だと思いながら観ていたが、「まともって何?」という修一の言葉が心になんとなく残った。
いまの自分も、何かが少し違ったら2人のような人生を送ることになる可能性もゼロではないのか。いや、自分だったら人に助けを求めるな。でもそれができるのは、身近に信頼できる人がいたり、社会の制度的なものを知ってるからかもな。

今日子にとっての上司や取引先、修一にとっての父親や柳田など嫌なやつが目立つ映画だったが、一方で今日子に息子の居場所をこっそり教えてくれた役場のお兄さんや、修一を支えてくれたみきちゃん・工場長などに心救われた。
どんな人にも嫌な人・自分をネガティブな方に促す人はいるし、逆に助けてくれる人もいる。それは今日子にも修一にも、そして映画を観ている自分にも共通なんだろう。

安藤さん、柄本さんはお二人とも無表情の演技がうまい。基本的にこの映画では無表情だったから、時たま見せる笑顔や泣き顔が印象的だった。二人の笑顔や泣き顔をみせるのは、みきちゃんや息子など大切な人が絡むシーン。表情がなくなるくらいしんどいことがあった二人だけど、大切な人がその二人に色を与えてくれている感じがして、素敵だなと思った。
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