香港

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンの香港のレビュー・感想・評価

4.6
こないだ観たアンゲロプロスの『旅芸人の記録』とは全く違う方向で、「知っているものが知っている形で動く」ということが極めて享楽的であるという事をこちらに強制してくる、恐るべき映画。

物語を観ていく中で、この映画が家庭・家事という名のルーティンの監獄に縛られている女性の話であるという事に気付くと、この固定カメラで捉えられた家事のシーンの長尺さへの畏怖が湧いてきて、一瞬たりとも目を離せなくなってしまう。この長さは必然であり、観客を画面に引き込む蠱惑そのものである。

そしてその画面への没入は物語の中盤で、そのルーティンが崩れ始めると、さらに泥沼の様相を呈し、画面から離れられなくなってしまう。本当に恐るべき構造だと思う。

そしてそのルーティンが崩れるきっかけは何だったのか。明確に画面で語られる事がないので、本来それはこちらの想像でしかないのだけど、あまりに気になったので検索に頼ってみたところ、監督自身のインタビューが出てきた。

ここにあそこで何が起きていたか、についての明確な回答がある。これを読んだ瞬間、俺は本当に頭を後ろから殴られたような衝撃を受けてしまった。全くを持って恐るべき映画だと思う。このサイズの文章で3回も「恐るべき」という言葉を使ってしまうほどに。

https://www.slantmagazine.com/film/q-a-with-chantal-akerman-jeanne-dielman-three-decades-later/
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