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超・悪人のYNのレビュー・感想・評価

超・悪人(2011年製作の映画)
4.5
レイプ魔への密着取材というトンデモ設定のモキュメンタリーだが、女性としての自意識をこじらせた高齢処女には福音のようなシンデレラ・ストーリーでもある。
健やかに性経験を積み、健やかに男性への嫌悪感を育ててきた女性には絶対オススメしません。

宇野祥平演じる「悪人」の破天荒な魅力は言わずもがななのだが、特筆すべきは2人の女性キャラクターの見事な描き方。
ヒロインとなるみーむーちゃんの、誰にも愛されない苦しみ、身体を持て余す息苦しさは心を抉る。
取材を担当する黒瀬やえこの、過去の傷によるねじれ、こびりついてしまった奇妙な執念もまた、目を背けたくなるような苛烈な感情を呼び起こす。
なぜ、男性である白石監督がこんな表現をできるのだろう、と思うくらい、鬼気迫る表現だ。

わたしはみーむーちゃんにがっつり感情移入してしまい、彼女は恋愛映画で唯一同化できるヒロインなので(普通の恋愛映画のヒロインは愛されたことがあるので自分とはちがうと思ってしまう)、初見時はもう涙が次々溢れて大変だった。

ちなみにこの作品で監督演じる「白石」は、他のどの作品よりもゲスで外道です。
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