ゆめのほっぷ

小さいおうちのゆめのほっぷのレビュー・感想・評価

小さいおうち(2013年製作の映画)
4.0
「足元に気をつけて。道は、真っ暗だからな。」

黒木華すごいいいな、山田洋次やっぱ上手いなという気持ちが続いていたので見ました。小さい、最後までおもちゃのおうちみたいな小さなおうちの窓から顔を出す松たか子。積極的でモダンな、おもちゃ会社の重役夫人という役に松たか子がとてもはまってた。

黒木華の仕事はほんとに完璧だった。タキさんがある決心をするまでの、小さな家をぐるっと回るショットはほんとスペクタクルだった。あのドラマのための映画だった、というくらいこの映画は「小さい」。小さくしようと、名役者と明快なモチーフを配置し動かして、名作家が描いた絵本のようだった。

そしてサスペンス。老年のタキさんの家には小さいおうちの絵がかかっていた。つまり、あの絵をもらうくだりがタキさんの人生のどこかにあったはずなんだ。そう気付いて、ラストのサスペンスがなおさらどきどきした。そうか、自分の小さい思いをあきらめきれず、あの手紙をずっと持っていたのに、ずっと、「長く生きすぎた」という思いで生き続けていたんだ。ほんとうに倍賞千恵子の遺作のような映画だし、妻夫木くんがなんで大学生役をやってられるんだという驚愕もあるし、やっぱり山田洋次はとても上手い。