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ANON アノンのkotaroのレビュー・感想・評価

ANON アノン(2018年製作の映画)
3.5
技術革新がもたらした監視社会というテーマと、拡張現実を再現したような映像編集、フィルム・ノワールを感じさせる映像美など、この映画を構成する各要素は非常に魅力的だが、やや唐突とも言える犯人の出現や弛緩したサスペンスの演出がどことなくこの映画を中途半端なものに感じさせてしまう。
SFとフィルム・ノワールの要素が取り入れられてはいるものの、そこに往年の名画が持つ娯楽性やミステリー性があるかといえば残念ながら無く、
言ってしまえばどことなく雰囲気だけの映画になってしまっているという印象を禁じ得ない。
とはいえ映画の基本はしっかりと押さえられており、孤独を感じさせる大都市と個人とのショットの対比や、不安を煽るダッチアングル、彩度の低いビジュアルの美しさなど魅力的な点も多い。
駄作ではないが、名作でもない。だが観るべき価値はあるSFの小品。
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