ルーク大佐

セインツ -約束の果て-のルーク大佐のレビュー・感想・評価

セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)
4.0
デヴィット・ローリー監督作『グリーンナイト』がツボったので本作を見たが、好みの映画だ。終始ほの暗く、ほの明るい光線の中で撮影され、音楽と映像シーンとのマッチングが絶妙であり、かなり地味な脚本だが傑作クライムストーリーと感じた。

生まれつきの悪党でもなければ善人でも聖人(セイント)でもなく、運に恵まれないままその日その日を生きてきたどっちつかずの小市民カップルが引き起こすクライム物語である。

とにかくダニエル・ハートの音楽が絶品だ。
弦楽器やパーカッションを用いて登場人物の心情を浮き彫りにするような音をかぶせてくる。音の強弱をつけて。このテクニックにはヤラレた。
音楽と映像とのマッチングだけで、+0.5くらいはつけたい。

ケーシー・アフレックの聞き取りにくく掠れたセリフ回しは未来不明な2人の重たい雰囲気を暗示しているし、ルーニー・マーラの破滅的な地雷美人顔はサマになってるし、さらにベン・フォスターの微妙な愛情表現の見せ方は繊細であり、人柄の好さも相まって保安官としてのモラルを逸脱しない。

3人の憎めない人間性をコト細かに描写する演出はすばらしい。
すべて映像で表現せずに、観客に物語を想像させるやり方もうまかった。
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