ひちょ

アナと雪の女王のひちょのネタバレレビュー・内容・結末

アナと雪の女王(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ディズニー作品は完全にCGになってからすっかり観ていなくて、中でもこの作品は、あまりにも人気なので敬遠していたのですが。

すごくすごく良かった。
今の自分が観れて良かったと思いました。

この作品の根っこにあるのは、オラフの言葉にもある「自分よりも他人も思うことが愛」だと思う。
アナもエルサも、最初は自分のことばかりを考えている。相手のことなんか構っちゃいない。

アナの呪いが解けたのは、「自分よりも他人を思うこと」ができたから。
自分の命がもう危ういのに、それでも、エルサのことを優先する。自分を優先してクリストフのところに走っていたら、きっと呪いは解けなかったでしょう。

あのアナの選択について、クリストフが報われない、という意見もあると思うんだけど、クリストフはアナを思って自分から離れて、またやってきた訳なので、クリストフのアナに対するものも間違いなく真実の愛なのだと思う。

そしてもうひとつ、とてもとても嬉しかったこと。
最初のほうで、エルサのことを化け物呼ばわりしたハンスに対する、アナの「エルサも普通よ」というような(めちゃめちゃうろおぼえですが)言葉があって、あとドワーフたちの歌にも、「みんな完璧じゃない!愛があれば完璧!」という言葉があって。

たしかにエルサの能力は他の人にはないものだけれど、だからといって彼女は異常ではない。
みんなみんな不完全でしょ?大事なのはそれをわかって愛し合うことじゃない?っていう。

これで、エルサの能力がなくなって「普通の人間に戻ったね!良かった!」ってならなくて本当に良かった。
エルサの能力はなくならないし、あるままで、みんなとまた笑える、っていう。

「let it go」という曲、もはやネタになっていたし、わたしも観ないままにネタにしてしまっていたのだけど。
本当に本当に、ありのままでいる、ということ、大切よね。完璧な人間なんていないということ、不完全な自分のままで、ありのままでいて、それでいいんだよね。

これにどれほど救われたか。もうだばだば泣いてしまった。


アナ雪に対して、とても感情的になってしまう。

ディズニー、ズートピアしかり、結構風刺効いてる内容を扱ってくるのに、それでいて子どもも大人も楽しめるエンターテイメントとして仕上げているの、本当にすごいな。

あと、「扉開けて」の歌詞がもうめっちゃくちゃに大好き。あなたと会えたから、扉を開けるのよ、っていう・・・アナの今までを思うと、もう泣けてしまうよね。
あれが全部ハンスの嘘ではないといいなあ。


追記

この映画が何故最高だったかって、恋愛至上主義ではないのもひとつの理由だと思うんですよね。
もちろんアナとクリストフの愛も本物なのだけど、男女の恋愛によって世界が救済される、という結末ではなく、姉妹の親愛によって世界が救済された、ということ、わたしはこれにとても救われた。

もしも男女の恋愛至上主義で、アナがクリストフとの愛によって世界を救済するのであれば、それは今までのプリンセスとプリンスによるラブストーリーと何ら変わらなかったと思う。
いわゆる、ステレオタイプというやつ。

男女の恋愛を否定することなく、けどそれこそが人生で最も素晴らしいのだ、と限定しなかったこと、めちゃくちゃに泣かされた。

ありがとうディズニー。


あと、わたしはこのあたりに関してきちんとした知識がないのですが、ハンスが雪男と戦うシーン。
あれ、今までの王子様とお姫様による物語でいう、王子様がドラゴンに打ち勝つことによってお姫様を手にする(言い方が悪いので再考)という構図のオマージュだな、と。
うろ覚えだけど、ディズニーにも昔そういう映画があったよね。

詳しくないのですが、昔のそういう物語って、何らかの困難、指令をこなして乗り越えることによって、お姫様との結婚をものにする、という小説の型式があるらしいんですよね。日本でいうところのかぐや姫がそれに該当する。(かぐや姫はそれを突っぱねるのですが)
で、まあ海外のそれだと、ドラゴンを倒す→結婚の権利を手にする、という構図がある、らしい。たしか。

雪男とハンスの戦いもそれなんですよ。長年その物語の構造に慣れ親しんできたわたしたちは、このシーンで、ああやっぱりハンスがアナの運命の相手、王子様なのね!と思い込んでしまう。意識的にも無意識的にも。
けどそれはミスリードです!実はハンスはほんとうの王子様じゃないんですよ〜〜!っていう。

はじめて観たとき、ウワ〜〜ミスリード!ステレオタイプぶち壊しにきた!と思ってテンションぶち上がってしまったよ。
昔の王子様とお姫様による物語の構造すらぶん殴っていくその姿勢、最高だと思う。

その型式に則って考えるのであれば、クリストフって正直何ひとつ倒してないもんね。
けど何か倒さなくてもいいんだよ。別にマッスルじゃなくていい。ドラゴンなんか倒さなくていい。
これ、男女による恋愛、というものもステレオタイプで見ていないことがきちんと表現されていていい。男は強く、女を守らねばならない。とか。女は守られる存在である。とか、そういう偏見がないことの表れですよね。

アナ雪は最高。
ひちょ

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