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マリリン・モンロー 瞳の中の秘密のhのレビュー・感想・評価

3.9
マリリン・モンローは彼女自身が創り上げた人物で、実はどこにも存在しない。そこにさらに人々の理想が重なって、イメージが塗り固められて、人々の目に映る自分と本当の自分との均衡が崩れて壊れていってしまう彼女。
セクシーで頭の弱いブロンド美人というイメージが強いマリリンだけど、よく見るとその目はいつも潤んでいて儚げ。彼女の出生の秘密や、劣等感ゆえに本を沢山読んで多くの言葉を残した知性の人だったこと、誰よりも努力家で自分自身を仕事道具として見事にプロデュースしたキャリアウーマンだったこと、恵まれなかった結婚生活など、いくつもの顔を持った彼女の物語を、この映画では年齢も容姿も違う複数の女優たちが語っている。
最後の場面が表すように、彼女の存在はまさに雲みたい。大らかな美しさを持ちながら、いつもどこか心ここにあらずという感じでふわふわしている。誰が手を伸ばしても決してその真相は掴めなくて、でもだからこそ彼女の存在は今なお多くの謎に包まれていて人々を惹きつけてやまないのだと思う。
マリリン・モンローのことをもっともっと知りたくなった。
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