NeMo42

ラスト・デイズのNeMo42のレビュー・感想・評価

ラスト・デイズ(2013年製作の映画)
4.0
ちゃんとした志あるB級映画。
多くの人が批判しているように、きっかけとなる病気の設定がふわっとし過ぎているように思う。建物の外に出ると恐怖で死ぬ。これがダメな人にはダメだろうけど、私には刺さった。「我々が恐れるのは、恐れそのものだ」とはよく聞くことだし、『リスクにあなたは騙される』なんかを読むと、メディアの影響などで過剰に恐れを抱くのは人間の癖のようなものだ。それにコロナ禍以降だと、この恐れを恐れる感覚は誰しもが共感できるようになったのではないか。公開当時にはなかった理解の補助線が引かれているように思う。
それほど、規模の大きな場面もないけれど、地下鉄の場面などはエキストラを大量に使っていたり、ときおり遠めに街の様子を見たりとなるべく世界の一大事として伝わるように作ってるのも好感が持てる。
シナリオも、病気の設定をうまく生かしたドラマとしてちゃんとまとまっていたと思う。
私が好きなのは、中盤の雨の場面。セリフなしで、こんな世界になっても確かに生きていて、生き延びようとしている人たちの力強さが伝わってくる名場面だった。