あずき最中

サカサマのパテマのあずき最中のネタバレレビュー・内容・結末

サカサマのパテマ(2013年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

秩序正しく、規律を重んじる「アイガ」に住む少年・エイジと「地下世界」に住む少女・パテマのボーイミーツガール。

冒頭、アイガにやってきたパテマのややヒステリックな振る舞いがちょっと苦手だったけれど、生死がかかってる状況だったら、あんなものなのかなとも思う。

物理的にどうなってるの?感は否めないけれど、「ICO」や「ダブルアーツ」のように、男の子と女の子が必然的に手を取り合う設定がけっこう好きなので、その点は楽しめた。

中盤、「アイガにとっての空」に2人がいくシーンあたりで、「サカサマ人」(罪人)が誰か......に予想がついてしまったけれど、終盤30分くらいでよくぞここまで巻き返したなあという印象。

【ネタバレ】
じつは、作中の世界は上から順に、
「地下世界の空」←結末で登場
「地下世界(パテマの住む世界)」
「アイガ(エイジの住む世界)」
「アイガの空(偽物の空)」←中盤で登場
となっている。
簡単にいうと、重力の向きが正常なのはパテマで、エイジの方が逆行している状況。

地下世界こそが元々の世界で、アイガは「空に落ちていきかけた人々の生き残りの世界」。
現在の「地下世界」に住む人々は、元々の世界で重力の研究をしていた人々の子孫。自分たちの研究によって犠牲になった人々を見守るために、「地下世界」を作って暮らしていたというオチ。

この話が長老の口からさらっと出てきてしまい、ささっと終幕になるせいで混乱してしまう人が多いだろうなと思う。
エイジ含め、アイガの人々の混乱、戸惑いみたいなものをもっと描いてもよかったのでは......。
この真相はアイガの人々のアイデンティティを揺るがすものでもあるし、ある意味、死よりも重たい事実とも言えるわけだし。

君主(イザムラ)がどこまでこれを知ってたのかによって、もっと重厚なストーリーにできただろうし、「ラピュタ」的と揶揄される展開は避けられた気がする。
いろいろ設定が凝っていただけに、もったいなさを感じた。

でも終盤、主人公2人が自分の危険をいとわず、相手を抱き締めて助けようとする姿勢はTHEボーイミーツガール、という感じで良かった。
ラゴスとエイジ父のやりとりもあったから、単なる恋愛だけでなく、「異文化に住む者同士の和解」の要素も色濃く出ていた気がする。

設定は好きなので、いつか再編してくれたら嬉しい限り......。
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