福福吉吉

フローズン・グラウンドの福福吉吉のレビュー・感想・評価

フローズン・グラウンド(2013年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
1983年のアメリカ・アラスカ州で17歳の娼婦シンディが市警察に保護される。シンディが手錠をかけられ負傷していたが、市警察は容疑者のロバート・ハンセンを信用して捜査を打ち切ってしまう。その一方、アラスカ州の平原で若い女性の遺体が発見され、州警察のハルコム刑事は殺人事件として捜査を開始する。やがて、シンディの事件を知ったハルコム刑事は一連の事件についてハンセンへの疑いを持つようになる。

◆感想◆
実際の事件に基づいた作品であり、娼婦を狙った連続殺人事件について警察と犯人のせめぎ合いや被害者の恐怖を描いたものになっています。ストーリーとして犯人と思われる人物が明らかであり、その人物を警察が如何に立件するかにポイントを置いたものになっています。

犯人のロバート・ハンセン(ジョン・キューザック)は表面は家族を大事にするおとなしい人物として通っていますが、その裏では事件の発覚しにくい娼婦を狙った強姦・殺人犯として卑怯極まりない人物であり、本作ではこの裏面が大きく描かれているため、観ていて腹が立ちました。

シンディ(ヴァネッサ・ハジェンズ)は生きるために幼いころから娼婦を生業として暮らしてきた少女で、ハンセンに恐怖しながらも警察に信用されず周囲に頼りにできる人物がいなくて、とても辛いシーンが続きました。その中でハルコム刑事と出会い、少しずつハルコム刑事を信用するようになる姿に心を揺れ動かされました。

州警察のハルコム刑事(ニコラス・ケイジ)は元々、別の殺人事件の捜査を始めたところ、シンディの事件の情報を手に入れて、関係があることを確信します。終わってみれば優秀な刑事なんですが、証拠なしにハンセンを追い詰めようとする姿は少しやり過ぎのように感じました。本作の場合、観る側には犯人が分かっているため、ハルコム刑事を応援してしまうのですが、もしこの刑事に無実で捕まったら洒落にならない気がします。

ハルコム刑事と犯人のハンセンの対決は攻撃的なハルコムを涼しい顔で流していくハンセンという構図になっていて、警察側が圧倒的に不利な状況下でハラハラする展開が続きました。ここからどう逆転するのか想像もつかなくて面白かったです。

なかなか良かったと思います。エンドロールに実際の被害者たちの写真が出てきて、心をグッと突き刺すものがありました。本当にこんな卑劣な犯罪がなくなって欲しいと心から思いました。

鑑賞日:2024年1月22日
鑑賞方法:CS WOWOWプラス
(録画日:2023年3月4日)
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