ジーク

her/世界でひとつの彼女のジークのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.6
愛さえあればなんとやら・・・なんて言うのはよく聞く話ではありますが、その極致にたっているような物語でした。

主人公セオドアは自分は離れたくない妻と離婚協議中の手紙代筆人(手紙のゴーストライター)。
妻への未練と後悔が強く、人と接することを恐れ男女問わず人を遠ざけて過ごし、空虚さや寂しさを埋めるため夜な夜なの顔も知らない相手とのテレフォンセックス等で自分を誤魔化している男。

そんな彼はある日世界で一番のAIを搭載したOSの広告を目にし購入、設定を終えると人間よりも人間らしい女性の声がセオドアを迎え・・
ここまでが冒頭あらすじ。


ここまでのあらすじでお気付きになる方は多いと思いますが、この主人公はなんとそのAIと恋に落ちてしまうのです。
超高性能AIは人の感情も芸術も解し、あまつさえその自身の思考すらプログラムに過ぎないのではと悩むという下手な人間よりも人間らしい女性?で主人公はその姿にどんどん惹かれていくのです。

最近ではニール・ブロムカンプの「チャッピー」が人間を人間足らしめてるのは肉的な物質論ではなく魂であると訴えてましたね。
仏教圏ならまだしもキリスト教圏ではこういう映画ってどうなんでしょうね?海外評価いまいち仕入れてないんですが。笑

少し脱線しましたがどこか悲恋が予想されてしまうこの作品が言いたいことはおそらく何をするにしても大事なのは自分をちゃんと持たない人間は他人にも好かれなどしないということなのではと僕は受けとりました。
人と寄り添いたいならば相手に寄り添うこと頼って貰うことを強要し自分は頼らず、寄り添わない、肩を預けないでは本当の信頼は気付けないと。
時に人は信頼の証として自身の人間的弱さをさらけ出す勇気も必要だと。合理性だけでは人間は出来ていないのです。


長くなりましたが、最後に一つ。
この作品、作品名は聞いていたのですが、監督知らないまま観賞してソフィア・コッポラの作品と勘違いしたんです。
そしたら違ってビックリして監督を調べたらコッポラの元旦那なんですね。
ビックリするぐらい撮り方が似てるのは活動歴からみてもコッポラが元旦那さんに似たんですねかね?
寝食を共にすると感性も似るものなんですかね?笑
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