社内バーテンダー

her/世界でひとつの彼女の社内バーテンダーのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.5
過去の失恋、AIとの恋愛を通じて、本当の愛とはなにかを考える物語

自分を本当に愛せていない(未成熟である)と人はなにかに依存をしてしまう。
相手に好きになってもらうために本当の感情を押し殺して八方美人に振る舞うことや。
一緒にいて欲しいと願うこと。
相手といたいからこそその願いを叶えようとすること。
本当の愛とは、自分の本心を押し出し、相手の本心を押し出し、喜び合うものであり、決して縛り付けるものでは無い。
そうなれてこそ、真の関係性が築かれる。

物が豊かになろうが、技術が発達しようが、幸せになるためには、自分が成長し、心を成熟させることが必要なのだと言うことを再認識できた。
昔から共通するテーマを見事に近未来で描いていた。

[追記]
最後に彼女が複数の人を同時に愛して見せるけれど、
ブッダやキリストのように解脱した人がたどり着く精神世界なんじゃないだろうか。
しかも肉体が無いからこそ、同時に愛する事を実現できているのは羨ましい限りである。
肉体に魂を囚われている間は相対的な葛藤を感じずにはいられないのに。