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もらとりあむタマ子のKYのレビュー・感想・評価

もらとりあむタマ子(2013年製作の映画)
3.6
山下敦弘監督作。78分。

東京の大学を卒業した23歳のタマ子は、父親がスポーツ用品店を営む甲府に戻って来る。彼女は特に就職活動をするわけでもなく、ほぼ毎日惰眠をむさぼり、ぐうたらな日々を送っていた…。

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『怠惰な日常から脱出しない』という言葉ではその根本的な理由をハッキリと説明できない人物像だからこそ、監督の映画で見せる理由がある。その意味で相性はピッタリなモチーフ。総じて好きだった。

でも前半、漫画読んでテレビに文句を言う様な『あるある』な描写が多すぎるのが気になった。『リアル』が過ぎると逆にデフォルメに見えてしまう。

その意味で中盤で就職活動に見せてからのアイドル応募のあたりが1番面白かった。怠惰で行動力のない人物は一発逆転などという甘い夢を見るし、その怠惰を見ている人物からちゃんちゃら可笑しいと思われるだろう事も客観視できている。

そんな人物像をアイドル応募という突飛な設定でありながらもその人物らしさというリアルにはきっちりとはめたのが面白かった。前田敦子だからこそ。

逆に終盤の父のお見合い相手を見に行く展開は『ドラマ的な展開』すぎるというかフィクションに振りすぎてて、これは普通にデフォルメされすぎて退屈に思ってしまった。

あと個人的には大きな動機を用意しなくても主人公の変化とモラトリアムの脱出をきちんと描けたら凄いよなぁと思いながら見てたせいか、結局モラトリアムから脱出しない帰着点に物足りなさを感じた。
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