Angiii

インターステラーのAngiiiのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
5.0
非常に正直に言う。

SF映画を舐めていました。

SFを甘く見ていたかつての私を殴りたい。タコ殴りしたい。

本当に素晴らしい映画です。


私がSFにあまり熱中していなかった原因は、映画内の物理学における論理的整合性にあまり信頼を置けなかったことにありますが、その考えは不可逆的に裏切られてしまった。

この映画、科学的整合性や理論の映像的実現、全てが厳密に描写されていて全く違和感がない。
いや、違和感を感じるか否かという問題はもはやナンセンスである。キップ・ソーンによる理論の監修、ノーランによる映像技法を前に、私達は存在の全てであるこの宇宙の圧倒的かつ恐怖的な美しさにただひれ伏すしかない。映画をひとつの多面体に例えるならば、往々にしてそれは一面が不完全であったりくすんでいたりしているものだが、この映画は全てが完璧で、真多面体のようである。父子の絆、人類の本能としての存続願望による紛糾、科学者としての葛藤、様々なストーリーがそれぞれしっかりと構成し、互いを絶妙な均衡でささえあっているのを唸りながら味わっている。

とくに、ノーランによる物理理論の映像的実現に関しては、本当に美しいとしかいいようがない。しかもこれが科学的厳密性を保持しているのだから、もう言葉が出ません。近年観測されたブラックホールの描像が「ガルガンチュア」そっくりだったことは記憶にも新しいが、これはそれを裏付けしているのかもしれない。

嬉しいおまけとして、マーフィーが父からのメッセージを解き、興奮のあまりペーパーを投げ出し「ユリイカ!!!」と叫ぶシーンがある。「ユリイカ(εὕρηκα)」は古代ギリシア語で「私は発見した」という意味だが、これは、かのアルキメデスが浮力を用いて王様の王冠の純度を調べる方法を思いついたときに叫んだとされる。科学的史実のリスペクトをもったオマージュである。グッとくる。

取り留めのないレビューになってしまった。IMAXで観られたのは幸せでした。
Angiii

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