KondoChihiro

物語る私たちのKondoChihiroのレビュー・感想・評価

物語る私たち(2012年製作の映画)
3.7
2015/3/28 キネカ大森
女子のルーツ紐解きムービー二本立て。併映はイーダ。
公開時からずっと観たかったのにタイミングを逃して逃してやっと観れた。映画監督サラ・ポーリーが自分の出生を探っていくドキュメンタリー。

思っていたより複雑な映画だった。基本的に家族や両親の関係者等が語る映像に本人の語り、昔の家族の映像を差し挟む形で構成されてるのだが、そう単純じゃないんだよというメッセージを冒頭から投げかけられる(インタビューを撮る前のセッティング過程の映像:ドキュメンタリーのドキュメンタリーから映画は始まる。ちなみに父親が語るのに監督としてダメ出しをするシーンもある)。内容はサラ本人の出生の秘密を確かに追っていて、その中身自体は事実なんだろうけど、途中からはこのドキュメンタリー映画を「作ること」についての種明かしをし出す。そして最後は物語を物語ることそのものについて焦点が当たっており、ただサラ・ポーリーの出生の真実のストーリーだけを追っていると少々面食らう。

「事実は人によって違う」=私たちが語ること、というのが多分本作のメッセージなんだと思う。だとしたら、自分の出生の秘密を知るプロセスに加えてそんなメッセージを映画で表現するなんて、ある意味すごい野心家だなあ…。ただ、私はそれは当たり前のことだと思っていたので(それを逆手に取るミステリとかもあるし、そういう構成そのものが好きだから)この映画の中で伝える意味をあまり感じられなかった。それも全て登場人物が語ることのみで表現しているので、やや冗長に感じられたし。ただ、それはこの映画をつくるプロセスの中でサラが本当に実感したことなんだろう。それが好ましかった。
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