さとう

子宮に沈めるのさとうのレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
1.5
とにかく観ていて辛い、そんな作品でした。何度か再生を止めてしまうほどの苦しさがありましたが、現代社会の闇を考えさせられる良い機会になりました。

私自身母子家庭で育ったので、母子家庭だからこうなってしまう、というような偏見はすごく嫌だし、母には本当に感謝しているので、私にとっては信じられない場面が多かったですが、現実的にこうなってしまう家庭も多いと考えると胸が痛いです。私の母は本当に強く、私たちにかけてくれる愛情は計り知れなかった、だからこそ私も母を救いたいと思い今も生きていますが、主人公の女の子が健気にお母さんを待つ姿や、一生懸命生きようとする姿、弟の面倒を見ている姿もそれに似た気持ちを感じ、胸が苦しくなりました。

元々はしっかりとした母親だったことから、誰もがこうなる危険性を孕んでいることを示唆しているように感じます。ただ、育てたいという気持ちだけがあっても、お金や時間、育てる環境が無い中での子育ては、本当に厳しく辛い日々なんだと、子供はいないながらにも強く感じました。

「育てられないのなら産まなければ良い」という考えもありますが、主人公のように環境に飲み込まれ転落していってしまうこともきっとある。でも、そんな環境に手を差し伸べる社会制度が整っていないこと、理解が足りないことは現代社会の大きな闇であり課題だと思います。

自分の隣の部屋で同じことが起こっていたら救えるのか?子供の声が聞こえたらどうするのか?、もし自分が母子家庭になったらどんな社会制度があるのか、そうなっても共に生きていける環境やお金は十分に揃っているのか、それら全てを考えて生きていかなければならない、そう感じました。

自分はこの映画を反面教師として、子供を産むということはどういうことなのかをしっかり考え、決意してから子供を産みたい、そう思いました。人の親になるということは簡単なことではない、簡単な気持ちではなれない、そう再認識しました。
さとう

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