うめ

あなたを抱きしめる日までのうめのレビュー・感想・評価

あなたを抱きしめる日まで(2013年製作の映画)
3.6
 「オレンジと太陽」も同じテーマだったけれど、こういう作品を観る度に、過去の過ちや問題が未解決のままで多く存在していて、かつ状況や国は違えど、似たような事が新たに行なわれているのだろうということをものすごく考えさせられる。
 だが、この作品はそれを重苦しく伝えることはしない。かといって、感動させようともしない。ただ息子に会いたいという強い思いを持った女性をシンプルに描いている。そうした役柄にジュディ・デンチの演技は見事に呼応していたと思う。息子探しの旅の道中、ちょっと冗談やきついジョークを言うフィロミナ。だが、息子に関する手がかりを見つけたときの表情は悲しく、切実なものだった。また、その旅に同行するジャーナリスト、シックススミスはフィロミナの相棒にぴったりだった。スティーヴ・クーガン(というか『ナイト・ミュージアム』のオクタヴィウスを演じていることを知りませんでした…!)とジュディ・デンチの掛け合いや演技が、この映画のテーマとうまくバランスを取っていたと思う。
 上映時間も長くないし、こうした事実がまだまだあるということを知る意味でも一見して損はない作品だ。
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