あなたを抱きしめる日までの作品情報・感想・評価・動画配信

『あなたを抱きしめる日まで』に投稿された感想・評価

フィロミナには50年隠し続けた秘密があった。10代で産んだ息子の存在。未婚の母と赤ん坊が収容されている修道院。やがて幼い息子はアメリカに養子に出され…
彼女は片時も忘れたことのなかった息子を探して渡米する。

旅に同行するのはBBCをクビになったジャーナリスト マーティン。片やアイルランドの中産階級の無学なおばあちゃん、片やオックスフォード出のインテリ、最初は噛み合わず ぎくしゃくするも、マーティンはフィロミナの大きな悲しみを理解し、また彼女の天真爛漫さに触れて次第に心が通じ合うようになる。
フィロミナにとっては初めての飛行機、初めての素敵なホテル。枕の上のナイトチョコレートに驚き、朝食で「オムレツもパンケーキもワッフルもあるわ!」と大喜びし、大好きなロマンス小説をマーティンに解説する。

本作ではフィロミナの息子を探す旅と共に修道院の悪しき隠蔽体質も描かれる。未婚の母となった少女たちを信仰の名のもとに断罪するシスターたち。罪とは赦しとは…。

フィロミナを演じたジュディ・デンチがまたも素晴らしかった。可愛くて悲しくて凛としている。
ヨカッタ👍
初めて知る重苦しい歴史があるという事、実話モノは勉強になる…
英国の市原悦子ことジュディデンチの普通のおばちゃんぽさが良き😄
cuumma

cuummaの感想・評価

3.6
アイルランドを知る糸口になりました。

生き別れた息子を探すフィロミナ(ジュディ・デンチ)は敬虔なカトリック信者。フィロミナに協力するマーティン(スティーヴ・クーガン)はインテリの無神論者。
この真逆な2人が息子を探す旅に出ると同時に、お互いの価値観を知り、尊重する。探し出した結末とは…2人のリアクションとは…
odyss

odyssの感想・評価

3.5
【天衣無縫な婦人とインテリ男の珍道中】

昔自分が未婚で生んだ男の子(勝手に養子に出されてしまっている)がその後どうしているか、老境に達してから気になり始めた英国婦人が、中年インテリ男の助力を得て探しに出かけるというお話です。

実は、そういう息子探しがメインのお話かと思っていたのですが、ちょっと違っていました。その点はやや物足りない。

しかし、この映画でいちばん面白いのは、老婦人と中年インテリ男の道中です。階級社会の英国。婦人は学歴的には低く、しかし一種の天衣無縫な性格の持ち主です。他方、男はオクスフォード大学卒のインテリですから、そういう婦人の性格に必ずしもそりが合うわけではない。合わない二人の道中が微妙な滑稽さに満ち満ちていて、ここがこの映画の見どころになっている。

そこまでまあ悪くないんですが、残念に思ったのは、修道院の本性に十分なメスが入れられていなかったことですね。そこをもっと暴いて、彼女らが何をやっていたのかを明らかにしてほしかった。この物語は事実に基づいているそうですが、おそらく昔の修道院もこういう、或る意味非人道的な行為をたくさんやっていたのでしょうから、その辺が白日の下にさらされていれば、もう少し観客としてもカタルシスが得られたのにと思いました。また、そうなればこの映画で描かれた老婦人の境遇ももっと納得のいくものになっただろう、と。
地価の高いロンドンに家がある(元)ジャーナリストのマーティンと、結婚前に妊娠をしたために家族から絶縁されて修道院に入れられた過去のあるフィロミナ。複数の意味で社会的な階級に差がある二人が手を組んでフィロミナの生き別れた息子を捜すことになるが、この対照的な性格の二人の掛け合いが魅力的。

シリアスな場面とコメディタッチな演出を混ぜ込んでいるので緩急の付いた構成になっており、最後まで飽きさせない。
そして何より、アンソニーの消息の行方がかなりビター。ここは間接的なレーガン&ブッシュ政権批判になっていて、性的マイノリティを無視してきた彼らや信仰によって親子関係を引き裂いた修道院に対する作り手の怒りが映画全体に込められている。

実話を基にしているみたいだけど、当事者たちのかなりプライベートなことまで描いているので見所は多い……。
かなり重く悲しい物語なんだけど、ジュディ・デンチ演じるハーレクインロマンス好きのおばあちゃんとスティーヴ・クーガンの皮肉っぽい記者とのやりとりに救われる。
える

えるの感想・評価

3.7
空港で本の物語を最後まで語るジュディデンチには笑ってしまった。
彼女をお守りしながらアメリカを旅する彼も大変だ、私も実の母と同居してるからよくわかる。取り越し苦労が多いのだ。

現状がわかったあとも旅を続け、真実に辿り着く。公表する事に対しての彼女の心の変遷も共感。
キリスト教の欺瞞が映画でも扱われて久しいが、
昔の日本でも キリスト教徒が日本人を奴隷として海外に売り飛ばしていたのだから あり得る話だ。
ジュディ・デンチがとにかく素晴らしい。
読んだ小説のあらすじを一気に捲し立てるシーンから、
静かな悲しみのシーンまでこちらを引き付けてやまない。

スティーブ・クーガンも皮肉屋の記者として、
物語のスパイスとして効いている。

何より実話を元にした作品と言う、
事実は小説より奇なりを地で行く名作でした。
これも実話だそうです。

ブレア政権の時代に報道官だった、元BBCの記者のマーティン・シックススミス氏が、濡れ衣で報道官をクビになり傷ついていたところへ、偶然知り合った女性から、
その人の母親が10代で未婚の母になった時に、アイルランドの修道院で子供を出産したが取り上げられて、その子の消息が分からないから一緒に調べてくれないか、と頼まれる。
取材してみるとネタになりそうな話で、出版社からも取材費が出ることになったので、
オックスフォード大学出のインテリ元記者と、ハーレクインロマンスが大好きなフィロミナばあちゃんの凸凹コンビで、取材旅行が始まるのだった…という話です。

まあ、これが実話なんですが、1950年代の修道院では、
子供が逆子でも医者を呼ばないわ、
新人の若いシスターに医療行為をさせるわ、
逆子でも素人に鉗子で引っ張り出させようとするわ、
おまけに出産後も4年間もタダ働きさせるわ、
出産した子供に会えるのは1日に1時間だけだわ…と、
酷いもんです。
いったい何時代の話?と言いたいくらい。

それが過去の事だけではなくて、現代でも隠蔽の為にお互い消息を探し合っている親子を長年騙すなんて、本当に酷い!
まだ長生きしていたシスター・ヒルデガードの考え方って、
神戸で学校内で教員に傷害事件起こしていた先輩教師が
「可愛がっていたのに…」という反省文書いてたのと、たぶん同じなんでしょうね。
自分のした事は正当化して、絶対に悪いと認めない。
そして、周りもそれを許してナアナアにしている。

他人のシックススミス氏の方が、全てを知った時に怒りが収まらなかったけれど、こういうのって他人の方が腹立ちますよね。
きっと当事者の方は、長年息子さんの事を思い続けてきたから、怒りよりも一番の目的を達成したいと、反って冷静で居られるのでしょうか。
フェノミナさんがお歳の割に捌けた考え方で、お優しい方だったので、きっと息子さんはフィロミナさんの下で育っていたとしても、幸せになれてましたよ。

どうしてフィノミナさんの様に、何も悪い事をしていない善良な人が、何十年も苦しまないといけないのでしょうか。
まだ、お互いの家族を探している人達がいっぱい居るみたいだったし、関係者がご存命のうちに、希望者には資料を公表したらいいのに。
それとも、今はちゃんとそれはやってるのかな?
教会は反省すらちゃんとしないから、最近は離れていく人が増えてるんでしょうね。
「赦すことは必ずしも美徳ではない」

主人公とCNN記者の対比が良い。
必ずしも相手の罪を赦さなくても良い、
これが最大のテーマであると感じる。

ある意味伝統的なカトリック思想の根付くアイルランドにおいてこの映画はゲームチェンジャーなのでは?
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