とにかく監督らしい絵作りがすごくて、可愛い!オシャレ!って感想になりがちだけど
主人公たちはホテルで働く人間らしくいちいち律儀なところが可愛らしかった。
今は寂れてしまったホテルが賑やかだった当時の出来事が語られていく形式は、過去の栄光を懐かしむ切ない雰囲気を強調していて素敵な作品だと思った。①人の過去の話を②過去の自分が聞いた経験が③書かれた本を④少女が読んでる設定。ややこしい。
ホテルマンの繋がりで電話を繋いでいくシーンがお気に入り。あと銃撃戦が始まってしまうシーンが皮肉で笑えた。馴染みのある顔がたくさん出てきてなんだか嬉しかった。
シンメトリー、または真横からのショットがとても印象的。現実感を取り払って、まるで小さな箱庭で物語が展開されていくようだった。色使いに関しても素晴らしくて、どのシーンも一枚の絵のような可愛らしさと芸術性があった。
そういった絵作りにはこのテンポ感がぴったり当てはまってた。ゼンマイ式で動く紙芝居のおもちゃみたい。
そんなリズムから映画の抑揚は少なく、淡々とお話が語られていくようだった。一瞬「えっ」となるシーンでもある意味コミカルに描かれていて、そこがブラックユーモアとして楽しめた。
それがウェスアンダーソン監督の作品の特徴で、別のストップモーションアニメーションの作品にも多く見られた。実写もアニメも関係なく、監督の固有の味が出てるのがすごい。