KEKEKE

クラッシュのKEKEKEのレビュー・感想・評価

クラッシュ(1996年製作の映画)
4.0
- 広義では6.7割が濡れ場と言っても過言ではない最高のエロ映画

- 人類は文明の発展と共に自らの移動速度を更新し続けてきた
- 移動の歴史において車というテクノロジーの発明は革命であり飛躍的な身体拡張に他ならなかったはずだ
- 時速100キロを超える速度で日常的に移動できるようになった我々人類は、全てを自らの足に頼らなければならなかった時代に比べ、その思考や振る舞いに少なくない影響を受けているだろう
- ハンドルを握った瞬間に性格が変わるキャラクターなどは創作におけるあるあるでもあるが、煽り運転の加害者の正体が往々にしてありふれた一般市民であるように、現実にそういう人間は存在していて、車というテクノロジーが人間の内面に何らかの働きかけをするという仮説は我々の経験にも裏打ちされている
- 車の運転がある種の快楽をもたらすこと、そして我々の身体能力を超えたその運動エネルギーがクラッシュした際に、未知のエロスが生じるのではないかという、クローネンバーグのいつも通りの変態性に付き合わされる作品

- 登場人物の多くが事故による損傷を負っていて、それは完治しない傷として身体に刻まれている
- 動物は学習の存在であるから、身体に刻印された傷が転じて快楽へと変異してしまったとき、同じ状況を再現したいと願ってしまう
- 経験によって得られる興奮を性欲に結びつけることで動物としての能力を拡張し、理性を破壊するほどのエクスタシーを得るための手順を再生する

- ○○ってセックスと同じだから!ってつまんねー酔っ払いが言うあれを、クローネンバーグは真正面から真面目にやっていてほんとうにかっこいい
- 古い作品から比べると、随分とシンプルに性を追求する作品へと研ぎ澄まされていることに驚いた

- 主人公が快楽にとらわれるきっかけになった最初の事故、正面衝突した相手の車の助手席から、ノーシートベルトのおっさんがビュルルッと飛び出してこちら側のフロントガラスに突っ込んでくるシーン、気持ちいい...と思ってしまった
- エロへの道はあらゆる人類に開かれた平和への道だ
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