さすがという感じのケイト・ブランシェットの演技！華やかでセレブな毎日を鼻にかけるような高慢な態度から、転落しすべてを失い精神まで病んでしまった憐れで虚ろな表情まで、リアリティーを感じる演技でした。虚栄心にまみれたジャスミンの言動は共感できないし、はたから見ると痛すぎる。転落も自業自得だと思う。人間 一度上げた生活レベルはなかなか下げられないものだし、本作で描かれているのとレベルの違いはあれど誰もが陥りかねない要素を大なり小なり持ち合わせていると思うと怖いですね。物語の展開は想像できる範囲ですが、堕ちていく過程で描かれているジャスミンと周囲の人々の価値観の違いなど人間ドラマとしての見どころは多くて飽きませんでした。家も夫もお金も信頼も失うという本来悲劇であるはずの素材を、音楽や演出によってどこか滑稽な喜劇のような軽妙な風情に仕立てているのはウディ・アレンならでは！そして、この転落もまだまだ序章に過ぎないことを皆 理解しながら映画は終わる。締め方もシニカルで素晴らしいです。
