かおりん

ミケランジェロ・プロジェクトのかおりんのレビュー・感想・評価

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ナチスにより強奪された莫大な美術品の「奪還」という命を受けた、「モニュメンツメン」と呼ばれる男たち。
歴史の表舞台に躍り出ることはなかった彼らの、偉大なる業績を知ることができるストーリーでした。

メンバーは全員、もう決して若いとは言えない顔ぶれで、職業も美術学者に司書、建築家や歴史学者、、、と、およそドンパチとはかけ離れた世界で生きてきた人ばかり。
縁あってチームとなった彼らが、それぞれの使命感に駆られて危険と隣り合わせの任務に向き合っていく様子に、ぐっと引き込まれました。
自分の命と、美術品と、どちらが大切なのか?
派手さはないけど、骨太な良作。


人は「戦禍をくぐり抜けた、、、」なんて表現をいとも簡単に用いるけれど、ひとつの絵画や骨とう品が戦争を経ても尚、美しいままあるべき姿であるべき場所に存在するというのは、実はとても奇跡的なことなんでしょうね。
その奇跡をこうして陰ながら支えた人たちに思いを馳せることは、恥ずかしながら今までありませんでした。
世の中には、まだまだ知らないことが山ほどあるなあ、、、と素直に感じ入った次第。


美術的な遺産って、人類の生み出したかけがえのない宝物ですよね。
今では当たり前に使われているような遠近法とか、見たモノを写実的に描くのか印象的に描くのか、はたまた抽象的に捉えるのか、、、人間の感性の進歩が、世界中の美術品に脈々と刻まれてきているんだと思うんです。
そんな、いろんな時代を生きた人たちの魂の記録を、戦争によって略奪されたり破壊されたりする世の中はほんとうに悲しい。
そして、今このときにも、世界のどこかでそういうことが実際に起こっているかもしれないわけで、この「モニュメンツメン」の精神は、決して過去のものではないんだなと思ってみたり。
斬新な切り口で、戦争の持ついろんな罪深さについて考えさせられました。



最後に、なんといっても出演者が豪華!!!
ジョージ・クルーニーやマット・デイモン、ケイト・ブランシェットなど重厚な演技の役者さんをふんだんに配していて、それだけでももう、見ごたえ充分。

そんなハリウッド常連の役者さんたちももちろん素晴らしいのですが、、、わたし的にいちばん楽しみだったのが、ドナルド役のヒュー・ボネヴィル!!!
ヒュー・ボネヴィルは、かの英国ドラマ「ダウントンアビー」の中で、主人公の伯爵を演じている俳優さん。
そう、、、わたくし、何を隠そうダウントニアンなのでございます(笑)

今回、伯爵、、、じゃなかったヒュー・ボネヴィルを大きなスクリーンで見られるのがうれしくて仕方ありませんでした!!!
ドナルド、健気にも大活躍の巻!!!
なんとしても聖母子像を救い出さねば、、、と、後半見ているこちらもぐっと力が入ってしまいました。
ちなみに、年明けのパディントンにも、ヒュー・ボネヴィルご出演なので楽しみ~♪
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