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SAVE THE CLUB NOONのRitzのレビュー・感想・評価

SAVE THE CLUB NOON(2013年製作の映画)
3.5
CLUBといえば、低音の効いたブーミーな音楽!ライムをかじり、ショットで流し込むテキーラ(酒)!そして、DJがセレクトしたイケてるナンバーに身を任せて、夜が開けるまで躍り狂う、なんといってもこれが醍醐味、DANCE!

しかし、突然「明日からうちの店では踊れなくなりました。音楽聴いて、お酒飲むだけでーす。ってかもう営業できないかも…」ってなことになったらどーしましょう…
今作は、大阪のクラブハウス「ヌーン」で実際に起きてしまった、そんなありえない事件の経緯を追ったドキュメンタリー作品です。

「あんたの店、風営法に違反してまっせ。役所に許可なく客踊らせたら摘発されまっせ。」ってな感じで、訳もわからぬまま営業停止処分を下されたCLUBヌーン。この映画は、クラブハウスの責任者をはじめ、「ヌーン」をホームに活躍する多くのアーティストの証言から風営法の正統性について疑問を投げかけるつくりになってる。

営業を再開しようとするも、結局執行猶予がつかぬまま営業停止に追い込まれるヌーン。しかし常連のアーティストたちは自分を育ててくれたヌーンに有終の美を飾るべく営業停止のその時までなんとか店を使わせてもらえないかと直談判する。自分たちの「ヌーン」がなくなる悲しみと、踊るという人間の純粋な表現が侵害された怒りをぶちまけたステージは、個別のインタビューで見せていた強気の態度とは一変して、ただそこのみに存在する哀しさが満ち溢れていた。

気の合う仲間とお酒をのんで、愉快な音楽についつい体も上機嫌。馴染みのあるナンバーに思わず踊りたくなる夜もある。でもまさかそんな自由が奪われるなんて、ちょっと想像できないけれど、ヌーンで起こった出来事は、嘘のような本当のはなし。
法律は我々の身を守ってくれるけど、タダではないんですね…。自由と引き換えに被るものに、はたして等価の価値はあるのだろうかと考えさせられた作品でした。
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