こっ敬省略

進撃の巨人 ATTACK ON TITANのこっ敬省略のレビュー・感想・評価

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN(2014年製作の映画)
4.0
こっさんは激怒した、批判前提でしか映画を評価できない矮小なオタク精神に。
こっさんには社会性と同調主義がわからぬ、気に入らないものには全力で反発し、空気を読まずわめき散らしてきた。
そんなテンションで見に行ってきたのが実写版「進撃の巨人」。
公開直後から激しい批難轟々の雨霰にさらされ、監督のfacebookでの失言もあいまってますます炎上案件となった本作。
個人的には監督が特撮の鬼「映画の登場人物は殺せるだけ殺せ」の名言で有名な樋口監督、音楽をエヴァなどをてがけた鷺巣、脚本を我等が映画秘宝の町山智浩が手がけるとあって、期待半分、不安半分で劇場へ。
映画が始まってみると、一部の役者の演技に少し違和感を感じつつもすぐに慣れ、巨人が登場するころには「あれ?おかしいな?普通に面白いんだけど」といった好感触。
巨人の捕食シーンはさながら、1966年の名作特撮、「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」を思わせる食いっぷりと激しく明らかにPG12以上はあるであろうゴアさ。
この時点で目を覆い、小さく悲鳴を上げる中高生女子などが目立ち、「いいぞ、もっとやれ!!!」とガッツポーズ。
この作品は巨人がいかに未知で恐ろしく凄惨な悲劇を巻き起こす捕食者であることを示せるかが第一の関門、ここで生半可なことをされてはハナから萎えるというもんだ。
しかし、この巨人、マジで気色悪い。
外斜視のような焦点の定まらない目で人間を見据え、薄ら笑いを浮かべて迫ってくる姿はかなりの生理的嫌悪感を感じさせる。
ここから先の展開はネタバレになるので書かないが、終盤に差し掛かっても特撮技術はすばらしく、特に巨人エレンの造形は、エヴァQの同時上映だった巨神兵に勝るとも劣らない完成度。
立体機動のシーンには少しCGのチープさなどは感じたが、日本の映画でここまでやれれば十分だろうという程度。
ラストシーンまで十分に楽しめる作品となっていた。
各所で批判の的となっている、唐突な戦地でのラブシーンや、ミカサの心変わりなどのシーンには、「なるほど、これは確かに今のベラベラしゃべるアニメばっか見てるオタクにはわっかんねぇだろうなぁ」なんて感じた。
総合的にみれば、確かに脚本の一部に「ん?」と感じるところはあったり、樋口監督お得意の人間ドラマシーンの演出のダサさなどは感じたが、長年樋口監督の映画を見てきた自分にとってはそれもある意味味わい深いもので、そこまでいやな気分にはならなかった。
総評として80点といった印象を受ける。
特撮や映像面のすばらしさは100点だが、脚本のつめの甘さがマイナスになってしまったかな?という印象か。
時に、これを呼んでいる人は「ミザリー」という映画をご存知だろうか?
知らない人の為に説明しておくと、怪我をした作家がファンの女性に介護されながら新作の執筆にいそしむが、その女性に新作の話が気に入らないと言われ、血みどろの拷問を受けながら執筆をさせられるという話だ。
これを聞いて皆さんは何か感じないだろうか?
ちなみに本作の騒動の的にもなっている一部の原作改変だが、これは原作者の諫山さん自身が望んで行われた改変らしい。
私がこの話と今の騒動を見て真っ先に思い浮かんだのがこの「ミザリー」という映画だった。
「ミザリー」では、作家の作品を神格化するあまり、自らの期待や意向にそぐわない本を書くと、とたんにヒステリーを起こす女が描かれるが、昨今のオタク達はまさにこれではないだろうか?
作品を愛する気持ちもわかるが、原作者が望んで、映画スタッフと作りあげた作品に、自らの期待や、予想、願望する作品像にそぐわないからといって、一切の評価を止め、狂ったように重箱の隅を突いて、鬼の首でもとったように騒ぎ立てるのは如何なものか。
これは直接的な暴力は伴わないが、やっていることは「ミザリー」と同じだ。
漫画であろうと、映画であろうと、それは作者の表現であって、それを表現する技術の優劣を問うならばまだしも、自らの思想、嗜好、趣味にそぐわないからといって原作者そっちのけで大騒ぎするのは実に幼児的ではないだろうか?
どうせ、オタク共は俺たちの大好きな作品がこれ以上汚されないように守るんだ!!!なんてサブカル自警団気取りの幼稚な発想なのだろうが、はっきりいってその行為は自らの愛するジャンルの発展を妨げるだけである。
かつて映画ファンの多くはシネフィルと呼ばれる自警団的うるさ型のオタクが大半を占めたが、その多くが徹底的なレッテルはりと集団性で映画を貶めた結果、業界は明らかに衰退した。
映画もアニメも商業である。
そこには必ずお金がかかるし、それが無ければ、何事も回ることは無い。
そのあたりの一切に目を向けず、盲目的に駄目なところだけをあげつらって叩いては評論家気取りをするオタク共は気づいているのか知らんが、この映画の興業収入を見てみるといい。
かなりの好成績だ、まだ初動だが、この分ならかなりの収益が見込めるだろう。
つまり、お前らがただ、叩いてネガキャンしているのを尻目に製作側はそれを逆手に炎上商法でより多くの収益を得ているのだ。
ありがとう無知蒙昧なオタク、おかげでこれからもこうした特撮が作れるだろう、願わくば、オタク達が馬鹿なままでいることを願って、後編に期待する。
こっ敬省略

こっ敬省略