なれすと

捨てがたき人々のなれすとのレビュー・感想・評価

捨てがたき人々(2012年製作の映画)
3.8


綺麗で無害なお涙ちょうだいストーリーより、人間の汚い部分をこれでもかと見せられる中に少しだけ希望を匂わせるような話の方が僕の心には刺さります。

田舎の狭いコミュニティの閉塞感と、性欲と金に溺れる人々。都会でも本質的には変わらないと思うんですけど、娯楽の少ない田舎だから、という風な説得力があった気がします。酒のんで、何かから逃げるようにセックスして、泣いて、怒って、叫んで、呆れて諦めての繰り返し。

登場人物全員クズなんですけど、みんな苦しんでました。圧倒的にクズなのが主人公のおっさんとキョウコ。僕はキョウコの方がダメでしたね。全てを諦めてたはずの主人公はキョウコと出会って中途半端に人生に意味を見つけ始めてしまうんですよね。そこからの苦しみが良かった。手探りでもがいてた。

一方キョウコは最後まで自分の汚い部分と本質的には向き合ってない気がしたんですよね。新興宗教にハマり小説のキャラに自分を重ねて綺麗事を並べて、少しでも自分の視界に映る世界を綺麗な物にしようとして。
結局それでも気がつけば性欲に呑まれて自分が忌み嫌ってるクズと似たような人間だということで自己嫌悪に陥り、また依存する先を求める。

そういった点で三輪ひとみさんはこのキョウコという役を演じきったと思います。笑顔の奥にみえる危うい感じとか。簡単に言ったらメンヘラチックな雰囲気か。身体もめちゃくちゃエロかったしなぁ。
ただ僕はキョウコに一番嫌悪感を抱きました。どろどろの生活に割り切ってる他のくたびれた人間の方がマシやと思ったんですよね。

この映画で体を張った演技の三人の女優さんみんなエロかったです。現実感のあるエロさ。

とにかく僕はこの映画良かったと思います。園子温の「恋の罪」観た後の感覚に似てます。

あと観ながらセックストリガーって話を思い出しました。知ってます?セックストリガー。男の人はググってみて下さい。今までの女関係の不思議な経験に説明がつくかもしれませんよ。
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