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パリ、ただよう花のstkei3110のレビュー・感想・評価

パリ、ただよう花(2011年製作の映画)
4.2
肉体労働者であるマチューと留学生としてパリの大学で学ぶ中国人ホワ。対照的な二人が関係を持ちやがて離れていく話。
二人の対話はほぼセックス。肉体的接触、セックスがコミュニケーションとして、そして現実から逃れるシェルターとして機能する。
この関係性は情熱的だが儚く脆い。ホワはその刹那的な関係を悟り別れ話を切り出すがマチューは抗う。肉体労働者の彼には肉体的接触の極北たるセックスにこそ愛があると信じる。ホワも肉体を欲する。だがホワは一方でこの関係は続かないことも悟っている。
前半部はとにかく言葉なきコミュニケーション=セックス。それに相反するように、マチューと離れ、ホワが北京へ帰国後選ぶ仕事は通訳=言葉が不可欠な仕事。彼女の仕事の描写は、前半のセックス描写とは対置されるようにひたすら言葉が連なり行き交う。この見事な対比。そして際立つ言葉というコミュニケーションの空疎さ。

ロウ監督特有の手持ち且つヨリの撮り方は人物を際立たせるのに効果的。背景の主観ショットがそれをより際立たせる。
全般的に、昔のロマンポルノを思い出させる作りで楽しめた作品でした。
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