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アデル、ブルーは熱い色のhanselchanのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
4.3
表情で語る映画だった。そしてリアルで心に突き刺さる映画だった。
物語前半は、自身の性的指向に悩むティーンの女の子の姿が真摯に描かれていた。もしかしたら自分は同性が好きかもしれないと思い始めるけれど、周りには言えないし孤独で。。そもそも人を好きになるってどんな感じなのか、男女どちらが好きかもよく分からないから、取りあえずどちらも試してみる。。主人公アデルの苦悩はすごくリアルな姿だった。物語の中では彼女のその内面を、授業で取り扱う文学に重ね合わせて描いているのが印象的だった。
そして物語後半は、アデルとその恋人エマの関係性に焦点が当てられる。彼女たちの姿は、ストレートのカップルでも共感できる恋人同士のリアルな姿だ。そしてラストシーンのアデルの姿がまた印象的だった。
LGBTであるが故に感じるアデルの孤独感や苦悩、また周りの人からの偏見やアウティング。そんななか出逢った初恋の相手エマとのかけがえない時間。プライドパレードで見せたアデルの開放的な表情。どれもこれもが心に残った。
昨今、LGBTの認知度が上がってきたものの、支援団体の活動が逆にヘイトを生み出してしまうこともあると思う。だからこそ映画を通して、自然な形でLGBTを知ることってすごく意味があることだと思う。それに、映画は誰かの人生さえ変えてしまうほどの影響力を持っていると思う。もし、自分のアイデンティティや性的指向に悩むティーンが居たら、本作をぜひ見てほしい。悩んでるのは絶対にひとりではないし、LGBTであることは恥ずかしいことではないって気付けるから。
本作はその性描写の激しさから、そればかりがフォーカスされがちなのがもったいない。(レンタル版だとかなりカットされてしまっているので、それほど過激ではないです)アデルを演じたアデル・エグザルホプロスも、エマを演じたレア・セドゥも、本当に素晴らしい存在感だった。ふたりは表情で演技していた。それに、ブルーを基調とした映像も芸術的で惹き込まれた。まるでドキュメンタリーのようにリアルだけど、幻想的で芸術的な作品。心を打たれた。
#2018秋18作目
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