百合

インセプションの百合のレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
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フィクションでノンフィクションをつくる

おもしろい。映画観てる〜〜!!!という気にさせてくれる作品。どうやって撮ってんのかわかんないシーンがたくさん。ほんとどうやったんだ…無重力のシークエンスとか全体的に混乱する。映像が混乱してるのに脚本にも混乱させられてるからオエってなる。でも最高。
空の上で夢の深くに潜って夢の中で落下して地上に帰ってくる。気持ちいい構造。
ただこういう世界線をずらす系はいつも思うんですけど、たとえば‘虚無’で年老いていたサイトーにはしかしサイトーの時間があったというか、存在してたということですよね。記憶や感情があるというか、帰れるからと言って死ぬってどういうことなのかなと、‘ずれてしまった世界線側’の人格から思ってしまうんですよ。帰れるといったってイマココにいる自分が死んだらそれは死ではないかというか。
夢の中って身体能力が変わったりしますけどそういうのはない設定なんですね。まぁそうなると変になるか。
「現実を疑う」もそうなんですけどインスピレーションだと思っているものがインセプションされたものだったとしたらと考え込んでしまったらもうノーランの手の中ですよね。わたしたちは本当にものを‘考えて’いるのだろうか。フィクションによって‘ノンフィクション’をつくっているのではないだろうか。やっぱりオエってなる。
大変におもしろかったです。映画の喜びを詰め込んだ作品。
百合

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