ジーズ

FORMAのジーズのレビュー・感想・評価

FORMA(2013年製作の映画)
-
やりたいことが明確な映画という印象。

1シーンごとにほぼカットを割らずに、固定カメラ長回しで撮ってる場面の繰り返しが「この場面はいつまで続くのか?」という不安を感じさせる。

さらにBGMも効果音もないことで、日常を切り取った感じがより強調されて、日常の中、あるいは先に潜む不穏な空気感が、ずっと持続してて、観てて息苦しくなるようだった。

登場人物の言い分が食い違いながら展開する感じは黒澤明の『羅生門』を思い起こした。また、敢えて会話が聞き取りづらくしてる場面も含めて、核心部分を「藪の中」にしてる意図を感じる。

上映後に坂本監督が登壇されてお話されていた中で、「映画は時間表現」という意味のことを仰っていたが、確かに本作は巻き戻したり、一時停止したり、音量を上げたりすることで、会話や映像を読み取りやすくすることは出来るだろうけど、それをやると作品が表現しようとしたことを外してしまように思う。

時間が一方向に流れ続けて止まらない。
それを表現する為に劇場での上映にこだわる意味が有る。

気になる点もいくつか有る。
この関係性の相手から仕事を紹介されて、果たしてその誘いを受けるだろうか?そこまで切羽詰まってるようにも見えなかったし。そこに関しては、ちょっと不自然に思えてしまった。

ともあれ、ハッキリとした意図が見て取れる作品で、面白かった。
ジーズ

ジーズ