Kousei

ルートヴィヒのKouseiのレビュー・感想・評価

ルートヴィヒ(2012年製作の映画)
4.4
時代は19世紀半ば、若くしてバイエルン国王に即位したルートヴィヒ2世の波乱に満ちた生涯を忠実に描いた超大作。
幼い頃から芸術を愛し、かの大作曲家ワーグナーに傾倒、彼を王宮に招待する。だが当時ワーグナーの思想は危険視されており、官僚たちは国王との謁見を快く思わない。
やがてプロイセンの宰相ビスマルクの鉄血政策により、普墺戦争が開戦。バイエルンはオーストリア側で参戦したものの、敗戦を喫す。
その後、ゾフィーとの婚約解消、普仏戦争、ドイツ帝国建国、ノイシュヴァンシュタイン城での晩年という流れで物語はトントン拍子で進む。

作曲家を描いた映画は幾つかあるが、ワーグナーを描いた作品は本作で初めて観る。
そして、僅かだがビスマルクやナポレオン3世も登場するので、世界史好きの自分にとっては、本作は非常に楽しめた。
ニュルンベルクのマイスタージンガー聴きたかった…

ルートヴィヒ2世の芸術愛好心、非戦争主義、同性愛気質、それらの人物像が緻密に描かれており、晩年の精神異常に繋がっているのだと思う。
当時の混沌としたヨーロッパ情勢の下、戦争に抗い芸術に身を捧げるその姿は、美しい限り。生まれてくる時代を間違えてしまったような国王だと感じる。

バイエルンの自然が織り成す映像美も素晴らしく、また一人歴史上の人物を良く知ることが出来たので非常に良かった。
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