ひげくま

トム・アット・ザ・ファームのひげくまのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

この監督の作品は初めて見たが主演のトム役が監督らしい。
25歳の若さで俳優から監督までできて、しかもかなり面白かったので驚いた。

トムは亡くなった彼氏、ギョームの葬儀に出席するために彼の実家までやってくる。
あいにく実家の農家までやってきたはいいが親類は皆でかけているようでトムは偶然見つけたキーを使い室内で待つことにした。
はじめは知らない男が自分の家にいることに驚いたギョームの母だが、トムがギョームの葬儀に来たことを知ると喜んで迎えてくれた。
その日の夜、トムがベッドで休んでいると筋骨隆々のスアレス似の男、ギョームの兄フランシスにいきなり襲われてしまう。
フランシスはトムとギョームの関係を知っており、そのことを母には黙っていろと強要するのだ。
ギョームは母に自身の性的嗜好を告白しておらず、サラという恋人がいると嘘をついていた。
はじめは乱暴で支配しようとするフランシスに腹を立て、村を去ろうとも考えるトムだが、フランシスの仕事の手伝い等行動を共にするうちに次第に逃げる気を失い、彼の暴力的支配に溺れていく。

このようなあらすじなのだが
映画を見ていて思ったことはギョームとフランシスの母はギョームがゲイ(もしくはバイ、実際作中ではバイ描写があった)であることを感づいていたようだ。
ギョームの恋人であるサラが葬儀に現れないことにしきりに腹を立てていたのはそういうことなのだろう。
また、BARでフランシスが起こした事件について語られたシーンがあるが、彼が激昂した理由は「あんたの弟について微妙な話が」と言われたからであるが、これだけで相手の頬肉を顎にかけてまでを裂いてしまったのは
恐らくだがフランシス自身もバイであることと、またこれも恐らくですがギョームとフランシスには肉体関係があったからだと思う。
また、母もこの肉体関係のことを薄々感付いていたのではないか。

フランシスは牛にビッチと、トムに由来した名をつけるがこれは本来はギョームに由来した名であり、フランシスがトムに暴力的に振る舞うのは彼自身が凶暴性をおくびにもださない男である以上に嫉妬があったのではないかと思った。
トムはフランシスのギョームと同じ声や匂いを自分の心にあいた穴を埋めるために使い、支配をされることによって必要されている実感を得ていましたが、フランシスはトムをどう思っていたのだろうか。
ラストの泣きなかまら帰ってきてくれと森の中で叫ぶシーンをみるに彼もまたトムに依存していたようだがフランシスのギョームに抱いた思いが複雑だった分見た人によって答えが変わりそうだと思う。
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