トム・アット・ザ・ファームの作品情報・感想・評価

トム・アット・ザ・ファーム2013年製作の映画)

TOM A LA FERME

上映日:2014年10月25日

製作国:

上映時間:102分

3.6

あらすじ

息の詰まるような愛のサイコサスペンス。 僕たちは、愛し方を学ぶ前に、嘘のつき方を覚えた。 恋人のギョームを亡くし悲しみの中にいるトムは、葬儀に出席するために彼の故郷へ向かうが…。隠された過去、罪悪感と暴力、危ういバランスで保たれる関係、だれも訪れることのない閉塞的な土地で静かに狂っていく日常。10年に渡るメロドラマ『わたしはロランス』とは打って変わった本作は、カナダ・ケベック州在住の劇作家ミシェ…

息の詰まるような愛のサイコサスペンス。 僕たちは、愛し方を学ぶ前に、嘘のつき方を覚えた。 恋人のギョームを亡くし悲しみの中にいるトムは、葬儀に出席するために彼の故郷へ向かうが…。隠された過去、罪悪感と暴力、危ういバランスで保たれる関係、だれも訪れることのない閉塞的な土地で静かに狂っていく日常。10年に渡るメロドラマ『わたしはロランス』とは打って変わった本作は、カナダ・ケベック州在住の劇作家ミシェル・マルク・ブシャールの同名戯曲の映画化で、ケベックの雄大な田園地帯を舞台に一瞬たりとも目を離すことのできないテンションで描き切る、息の詰まるような愛のサイコ・サスペンス。

「トム・アット・ザ・ファーム」に投稿された感想・評価

ででん

ででんの感想・評価

4.8
ありがとう共依存…ストックホルム症候群…
色気が隅々まで迸っている…
みんな孤独で、ひとりで立つことができない

ただただ広い何もない郊外に旅行へ行って、久しぶりに都会に帰ってきたとき。高速道路から車ででビル街に突入したときに物凄くホッとしたのを思い出した。
ラストのシーン、都会って落ち着く…
koya

koyaの感想・評価

3.5
これは「たかが世界の終わり」と同じで、ドラン映画の中ではそんなに響いてこなかったかなぁという作品。とは言え、一度も描かれないギョーム(最初字幕がギョーザに見えて二度見した)の確かな存在感や、タンゴのシーンの熱っぽさ・危うさ(これはキスしちゃうやつだ~…しないんかい!)とかを見ると、やっぱ凄い人だよなぁと思う。
and

andの感想・評価

4.6
一見普通の日常に、突然やってくる恐怖。グッときた映像や音楽。少ないセリフだからこそ意味が多く込められているように思えた。
どんな恐怖が主人公に待ち受けているのかと色々想像しながら鑑賞していたにも関わらず、後味が良かった映画でした
megumi

megumiの感想・評価

3.5
ドラン作品これで全部観たわけなんですが、、こちらもまたなんとも言えないラスト。
余韻が残る感じが好きです。
最初の弔辞らしき文章、サラの伝言と伝えた自分の中の気持ち、が観てて苦しかった。
Kasumi

Kasumiの感想・評価

3.5
グザヴィエ・ドラン監督兼俳優は、人の感情を高ぶらせたり苛立たせたり憤らせたりそういう小さなきっかけみたいなものの表し方にすごく長けているなといつも思います
あらゆる最悪のシナリオを想像しながらビクビクして最後まで凝視。
怯えつつ、絵の綺麗さと音楽と先の読めなさでずっと観入ってしまう。

そしてあのエンドなのに、なぜか後味が悪くない。なんでだろう。この監督の映画はいつもそういう不思議な食感。
North

Northの感想・評価

3.9
忙しなく書き殴られる文字。
「今の状態はまるで僕自身の一部が死んだのと同じ 僕はどうしても泣くことができない 頭の中から抜け落ちてしまった “悲しみ”という概念が 今残された者が君のいない世界でできることは 君の代わりを見つけること 」

映画中、トムの表情は終始止まっているかのようだった。
自分の思い込んでいた人物像とはまた別の世界を持っていた、生きていた時の愛する人の、いくつもの顔をもう彼のいない世界で知る。
やはり、ドランの作品は後味が悪く(良い意味で)ED後も引きずる。案の定、こちらの作品も覚悟して見て良かった。

この映画は、エンディングが終わったら冒頭をもう一度再生するのをオススメ。
なつん

なつんの感想・評価

3.7
スリラーは基本見ないんだけど、ドラン作品となったら話は別。ということで。
今まで見てきたものと、大きく違うところはたぶんあんまりない。元々の戯曲の脚本が彼の手によって映画になったというだけで、グザヴィエ・ドランの色が抑えられるなんてことはなく、見応えがあった。母と息子、ゲイの恋人という物語のパーツはこれまでの彼の作品に通じる部分もあるし、特に違和感はない。
これっていう恐怖がない、ただなんとなくずっと怯えているような雰囲気がとても恐ろしかった。
せい

せいの感想・評価

3.7
久々にドラン作品に手を伸ばした。
恋人の死。葬式に向かうが彼は自分のことを恋人だと紹介してはおらず、むしろ母親には女性の恋人がいると言っていた。
葬式の時の天気とは打って変わって、恋人の兄に脅されその家に居続ける時は暗くて、じめじめしてて、何もかもがぼんやりしている。そんな感じだった。
理不尽に脅され、ほとんど軟禁状態で、暴力も振るわれるのに、トムはそこから逃げることが出来ない。それは恐怖からではなく、次第で兄に対して愛情が芽生えたからだ。
仕方なく引き継いだ牛舎を煩わしいと思いながらも母のために、母に認めてもらうために維持している、でもそれはいつも空回っていて、母には冷たい扱いを受けている。そんな彼を放っておけなくて、自分がいてあげなければといつの間にかトムは思っていた。
トムの友人サラが家に訪ねてきた時の、「帰ろう」と何度言っても話をはぐらかすようにこの家の魅力を語るトムの瞳に光はない。
ストックホルム症候群はこうしてなるのだろうなあと思った。
ドラン作品は割とカラフルで芸術的な描写が多いけど、今回は薄暗い背景の中で不穏な空気をばんばん出していた。
稲穂の中を走るシーン、牛が引きずられるシーン、大好きです。
部屋の二人のベッドの距離の描写もとても良かった。さり気ない。

「君の代わりを見つけること」
an0nym0us

an0nym0usの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

農場『ferme』が《fermeture》『閉鎖』を連想させ…それがenfermerに繋がってEnfer『地獄』なんて想像をしてしまいそうになる…不吉な言葉遊びのような原題。

冒頭のreplacer『置き換える』の文字が、今作の持つ余白を強調しつつ、説明を省いたままで物語が展開していく。

余白を埋めるのは私たち自身の想像力。

観る側も囚われる…

閉塞した自意識という檻の中に。

渇いた者に、ひと雫ずつ水を与えるような見せ方…酷くサディスティック。
私たちはその雫を舐めようとして…
様々なことに『意味』を求めてしまう。

作中のトムとフランシスも…渇いていた。
だからこそ見え隠れする…劣情の色合い。
癒えぬ渇望がもたらす…粘性と熱。

観る側も彼ら同様に、掻き立てられる。
その無限回廊のような重ね方に魔性を感じた。

replacerが融けて混ざって…おぞましくさえある『架空の現実』に囚われてしまう。

嘘の中にある真実の影。隠そうとすればするほど、具象を帯びて浮かび上がる。

ナイフのような10月のトウモロコシ畑に迷い込み、組み敷かれて…それでも人は抜け出せない。滑稽なまでの愚かさと弱さ。

観る側はトムになり、フランシスになり…

最後にようやく、閉塞した檻から解放される。
悪夢から覚めるみたいな救済。

この苦い安堵…ドラン監督の感性は凄い。
嗜虐的なやり方に少し嫌悪さえ覚える。

隠していたものを暴かれるような…
苦しさと同居する解放感。

深い奥行きと立体感のある秀作。

痛みで癒される傷もある。
逃避は恥ずべき事ではない。
遠まわりも、時に必要なこと。

人の心の『ぬるい』部分。
上質なサスペンスに『人間』が描かれていた。

苦手な部類の作品だけど…お見事。
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