Aiko

ある精肉店のはなしのAikoのレビュー・感想・評価

ある精肉店のはなし(2013年製作の映画)
4.0
気候変動への危機意識から畜産過程でのCO2排出が非常に多いことを知りました。その繋がりで映画「ドミニオン」を観て、工場畜産の非道さを目の当たりにし、アニマルライツに強く関心を持つようになりました。感じたのは自分も含めた人類の傲慢さ。文字通り、目を覆いたくなるシーンばかりです。動物たちを全て管理できると思い込み、なんの慈悲もなく物のように扱う残虐さ。資本主義社会の中で、安さと量を求め続けた私たち消費者が生み出してしまった世界。
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その工場畜産の現場からすると、この精肉店はとても対照的で、映画全体も非常に安心しながら見る事が出来ました。もちろん生きているものの命を奪っている事実は変わりませんが、ドミニオンで映されている現場が「闇」なら、牛さんに感謝し、自分たちの仕事に誇りと意義を感じながら日々暮らしている北出精肉店の方々はなんというか・・・「陽」の存在だと思いました。
自らで育て、命をいただき、顔の見えるお客さんたちに販売して感謝される。この「相手が見える」営みがあるからこそ、常に感謝と慈悲を持っていられるのではないでしょうか。
工業化・分業化で全てが流れ作業になる世界では、仕事に感情も感謝も生まないのでは。
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