matsushi

胸騒ぎの恋人のmatsushiのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
4.0
久しぶりのドラン作品。気づいたら後回しにしまくっていた作品。
友人企画のムービーナイトでやっとの事で鑑賞。本当にありがとう!!

本作の主軸となるのがフランシス、マリー、ニコラの三角関係。三角関係のストーリーって単調になりやすいイメージがあったけどドランが手がけるだけでこうも情緒的で複雑な作品になるのかと、ドランの手腕に唸らされました。

本作で特に印象的だったのが、ライティング。ドラン作品でラインティングに目を見張ることは今まで少なかったような気もするが今回は面白い使い方してました。登場人物の情事のシーンのときにのみ赤、青、黄、緑の単色ライティングを施す。単色に照らされた登場人物はその色と同化するように本音を曝け出す。この演出、ドランの美的センスが光ってすごい好きでした。

ドランお馴染みの演出も本作では良い味を出してた。クローズアップの多様で、ニコラの小さな行動で揺れ動くマリーとフランシスの心情をこれでもかと見る者に伝えてくる。また、バックショットからのスローモーション。それに加えてダサ渋いBGM。
そして、おそらくニコラのモチーフであろうマシュマロが空から落ちてくる正面からニコラを捉えたカット。フランシスやマリーから見たニコラの印象だろうか。自分もドランのような美的アートセンスが欲しいよ!!

側から見れば滑稽な三角関係だが、本人たちは至って真剣そのもの。あらゆる複雑な感情が交差しているのがみて取れる。恋愛なんてそんなもん。わかっていても、繰り返してしまう。
ラストシーンはそんな言葉が聞こえるような気がした。

また、「マティアス&マキシム」のレビューでも言ったように、ラストシーンがドラン特有の、ハッピーエンドって言えばハッピーエンドなんだけど、両立し得ない幸福感と悲壮感を帯びたものになっていた。
ミクロな世界観だけど、ストーリーの続きを感じさせ、世界観に奥行きをつけるこのラストはとても好きです。
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