とかげ

オーバー・ザ・ブルー・スカイのとかげのレビュー・感想・評価

5.0
作品を貫く真実性が
凄まじい強度を持っている。
光彩を放っている。

血の通う音が聞こえる。
肉体の匂いがして
ところどころは湿り
同時に乾いた場所もある。
複雑な命の有り様がマザマザと
アリアリと動いている。
ゾクゾクする。

命さえ突き破り
心臓そのもののリズムに紛れるような…
本当になんと凄い映画だろう。
監督は何者なのだろう。
あらゆる側面が、熱を帯び、
しかし淀みながら踠いて
まさしく瞬間と永遠が
互いを歪みながら認め
躍動している。

時系列を解いた構成は
この強度があったからこそだけれど、
それを作る前から組み立てとして
企てていた製作陣の
作品への熱意が、
この完成度の骨組みだと思う。

理想論や響きだけはいい空想を唱え、
科学を蔑ろにする愚かさを描きながら、
そこにある別次元の圧倒的な渇望や
人間味の真髄を表出させている。
「命を帯びた上映時間」に慄いた。
私の中でドクドクと命が通っているのを
鮮烈に、容赦なく感じる。

眼差しの先で光るこの映画は、
永遠にココにある。
メイベルと共に。