YasuyukiOgawa

ダラス・バイヤーズクラブのYasuyukiOgawaのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
4.5
ずっと見逃していた。

第86回アカデミー賞にて、主演男優賞をマシュー・マコノヒーが、助演男優賞をジャレッド・レトが受賞した実話に基づく名画です。

第86回アカデミー賞は2013年の作品が対象となるわけだが、本当にこの年は面白い、そしてデカい作品が沢山作られた年だ。

私が大好きな監督スティーヴ・マックイーンが完成させ「作品賞」と「助演女優賞」を受賞した黒人奴隷の辛い伝記『それでも夜は明ける』をはじめ、各賞をノミネートされ7部門も受賞した壮大な宇宙の物語『ゼロ・グラビティ』、アカデミーをどうしても受賞したいレオナルド・ディカプリオが暴れ狂った『ウルフ・オブ・ウォールストリート』、個人的には超駄作だと感じている「マルコヴィッチの穴」でお馴染みのスパイク・ジョーンズが監督をつとめた『her/世界でひとつの彼女』などなど。どれもデカい作品ばかり。

その年の主演&助演のアカデミーを2人揃って受賞ってね。鑑賞された方は解るだろうけど、鬼の『名演』です。

映画評論家の町山智浩氏もラジオで言ってたけど、アカデミーは究極の役作りをした人に贈られる傾向があるってね。確かにそうかも。
本当に主演マシュー・マコノヒーと助演ジャレッド・レトの演技と役作りが凄まじ過ぎる。それだけでも見る価値はある。

※以下ネタバレ有

内容としては、実話を元に作られた作品なんだけど、80年代のアメリカ。HIV〜AIDSに関するお話。
私は物心が付いた時には、この病気はしっかり認知されていて、そしてアメリカを中心に対策を考え進めている物だと勝手に思ってました。

しかし実際は、第40代アメリカ合衆国大統領のロナルド・レーガンは、この問題を無視し続けたみたい。調べきれていないので何とも言えないけど、彼の「宗教的な考え方」がそうさせていた模様。

国は何も動いてくれない。
じゃぁ、HIVに感染してしまった自分で動くしかない!
見渡すと、自分と同じように苦しんでいる人が多く居る。
じゃぁ、みんなも一緒に助かる道を探そうぜ!
って内容の映画。

しかも、キレイゴトなんか全くなく、超ヤカラな主人公マシュー・マコノヒーが演じるロン・ウッドルーフが、暴れ狂いながら進めるのよ。

この映画で知ったんだけど、HIV予防のクスリは日本人が開発したんだってね。そのクスリを求めて日本にも降り立つシーンもあるし。

題材が題材だけに、初めて感じる映画でした。
仕事柄「薬事法」を考えなくては行けない事が多々あるんだけど、死が近づく(というか、当時は何だか解らなかったんだろうね)人の心境。そして、その問題をどう乗り越えるのか。
凄まじく人間臭い作品で傑作です。

しかしながら、あまりにも完璧過ぎて、もっとチープな感じに作ってもよかったのでは!?と主観もチラリ。
監督ジャン=マルク・ヴァレの次の作品『わたしに会うまでの1600キロ(2014年:原題「Wild」』も観てみようかと。