実は、今年のアカデミー賞ノミネート作品の中で、
一番興味がなくて食指が動かなかったのが本作。
これ、もし見逃してたら自分は相当馬鹿だと思ったくらい、
結果的には一番好きと言える作品。
そもそもロードムービーは苦手なジャンルっていうのもあり、
ペイン監督の前作がイマイチ私には響かなかったので、
本当にスルー寸前だった。観てよかったよ・・。
ブルース・ダーンが演じるお父さんが、
本当にボケているのか、
正気でやってるのか最後までわからない。
大事に持っていた懸賞当選の紙をなくした後、
息子に「探しにいく?」と聞かれた直後のあの表情。
キラキラした瞳とかもう・・・あれは最高でしょう。
随所に感じるのは、息子が本当にお父さんに優しいってこと。
その逆にかつての友人や親戚たちのあり方が、
もう完全に一方通行で、これは老いたからってことではなくて、このお父さんずっとこうだったんだろうなと思う態度なのが、だんだんわかってくるわけで。
途中から旅に参加するお母さんが、これまた強烈。
息子は聞きたくもない過去の下ネタを堂々と話されて辟易しまくり。
だけど、彼女のあの一喝とお父さんに対する本音の一言が素敵だった。
兄と二人で「やるか」ととあるモノを盗みだす場面は、
あの映画の中で唯一ハラハラする部分。
その後のお母さんの対応も含めて、この家族いいなあと思えるエピソードだった。
ラストに至っては、下から見上げる息子と、
誇らしげに運転する父という構図がたまらなく愛しかった。