まさに重松作品の真骨頂である。
青春時代、野球、不器用なオヤジそして家族。
得意アイテム目白押しである。
こんな小説をどのように映像として料理するかを観たくて観賞した。
舞台は、甲子園であるが高校野球ではない。
この作品でマスターズ甲子園と言う大会があることをはじめて知った。
元高校球児がもう一度甲子園を目指す大会である。
高校時代に訳ありで甲子園の夢破れたオヤジの元にある女子大生がマスターズ甲子園の話を持ちかけるところから話は始まる。
夢破れた訳は何か、その女子大生の正体は?
止まっていた時計が急に動き出すように事は進まない。
そこが重松作品である。
しかし謎が明かになるたびに泣かせの波状攻撃がこれでもかと襲いかかる。
そのたびに思惑通り泣かせられ、もう終わりかと思って気を抜くともう一度と強烈な一発を浴びて最後は浜田省吾さんの曲で打ち上げとなる。
でもそこで流れる涙は悲しい涙じゃない。
爽やかな涙を流すならこの作品をおいて他にない。