静かで落ち着いた空気の中、コーヒー豆を焙煎する音・お湯を注ぐ音・波の音など、BGMのように漂い風景に寄り添う音が心地よかった。予想を超えるようなドラマティックな出来事が起こるわけでもなく、どちらかと言えば淡々とした展開だけど、それが海沿いの小さな店のたたずまいや彩度の低い映像と調和して、叙情的な雰囲気を醸し出していた。
子役の桜田ひよりちゃんの自然な演技と黙って何かを見つめる時の、年齢よりも大人びた眼差しがとても印象的でした。この子の存在感と焙煎珈琲店のあるさいはての風景が、この映画のキーサクセスファクターだと思う。
帰らない父を1人待ち続ける女性と彼女に感化されていく向かいの家の家族の物語は、雰囲気で押した感がやや強いのは否めないけどその雰囲気が心地いい。
慌ただしい一週間が終わり、久しぶりに公私共に予定の無い金曜の夜 レイトショーで1人静かに観る映画としては、いい選択だったと思う。鑑賞後ちょっとどこか小さな店に立ち寄って珈琲を飲みたくなる一作。
3月末 超busyだった週の終わりに都内の某シアターにて。
