マツシタヒロユキ

午後3時の女たちのマツシタヒロユキのレビュー・感想・評価

午後3時の女たち(2013年製作の映画)
3.0
予告編で遭遇した主人公レイチェルの台詞。

「セックスするならいつがいいの?」-「午後3時ぐらいかな...」

なんとも気になるこのトピックと、
どう見ても地味なルックのこの作風をなんとかしようという配給会社の努力が明らかな「タランティーノが絶賛!」というリコメンドにまんまと釣られて、観にいって参りました。

「家庭を大事にしてきた感」満載のこの主婦レイチェルを演じるキャスリン・ハーン。
先日観た「ヴィジット」の複雑な母親役を見事に演じていた人だったもんだから、
「あの過去を乗り越えた素敵なお母さんがまさかこんな!」と意味なくモヤモヤしました(笑)

そんなことはさて置き。
個人的にこういう「なんか"家庭"や"日常"にモヤモヤを抱えた中年モノ」はやっぱり大好物ですなー(苦笑)

全編に渡ってやはりセックスがキーにはなっている物語ではありますが、
結局は「ダメな大人がただ暴れ、喚いて、なんだかんだあって、での成長(してる風)物語」とも言えるお話。

出てくる人たちはほぼ全員何かしらダメな要素を抱えた大人たちで、
でそれは現実世界でも誰しもそういうもんだと僕は思っていて。
人はいくつになっても「もっと自分らしい生き方があるはず」ともがき続ける生き物なんですね。

とまぁ内容としては基本的には良い作品ではありましたが、
観終わっての感想としてはモヤモヤが消えません(苦笑)

レイチェル含め登場人物はなんだかんだでやっぱりどうしようもないヤツばかり。
感情移入できそうで誰にも出来ない気持ち悪さ(意図的かとも思うが)。
物語をかき回すきっかけとなるストリッパーのマッケナとレイチェルが仲良くなっていくくだりも急過ぎて違和感。
でそのマッケナも、レイチェルの自分勝手な善意になんだかただ巻き込まれただけで、可哀想な被害者としか思えない。
ユーモア自体のセンスは良いんだけど、ネタやタイミングによって笑っていいのかよく分からない居心地の悪さ。
編集や音楽も上手いとは言えないし、テンポも良くはない。オチもなんだかなー。
あ、男組と女組の楽しんでるシーンを交互に見せるのは効果的だったし上手かったけど。

つまり、ある意味あまりにもリアルなのかも。
人生そういうもん、っていうかね。

最高のセックスが実現したとしても、その後はどう生きる?
オーガズム後の虚無感は、その後の人生も繰り返すのだよ。(←雑な〆)