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フォックスキャッチャーのkwskのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
5.0
ブルク13で。

まず、映画そのものがとてもわかりやすかった。マーク、デイブ、デュポンの関係は典型的な三角関係だし、それぞれの顔には個性があって区別しやすい。伝記になりうる人間たちであるが、ここで語られてるのは普遍的なドラマである。名家の出でもスポーツ選手でもなくても、わかる話である。デイブはああなる運命だった。

そしてその歴史的人物の普遍的な物語は、圧倒的強度を誇る画面によって示される。レスラー特有の、のっそのっそとした歩き方。デュポンの見下したような眼と高い鼻(仰角で撮っていないにもかかわらず!)。つっ伏せられた時のよだれ。馬とレスリングの対比(息子を見下す母の目!)。演出と役者が噛み合ったのだろう。常に緊張感が突き抜けていた。

マネーボールでもそうだったが、ミラーの現代におけるテレビと車内の扱いが興味深い。独特な孤独感がある。
今後重要な作家になる気がする。

マークの依存性、デイブの不変性、デュポンの破壊性、三者のバランスが絶妙。
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