Chiaki

フォックスキャッチャーのChiakiのレビュー・感想・評価

フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)
3.5
映画館のポスター3度見くらいした。
え、、これがスティーヴ・カレル!?と…。思わず立ち止まってまじまじと見てしまったけど、横のラファロの存在に気づき、更にガン見。

デュポン財閥の御曹司であるジョン・デュポンは自らチームを立ち上げ監督になる程のレスリング愛好家。やりたいことはすべて通さないと気が済まず、趣味で購入した戦車に機関銃が付いてないとふてくされたりします。(しかし庭で戦車乗って遊ぶってやばいな…)
ただこのジョン・デュポンはよくいる愛に飢えたお坊ちゃまとは、少し違いました。

デュポンが現れる度に不穏な予感が絶えず、とにかく息が詰まるような思いでした…。「何もするな何もするな何もするな」とずっと頭の中で繰り返す程びびってしまいました。
何を考えているのか、何をしでかすのか、全く予期できないくらい無表情なのと、とやけに落ち着いた(でも嫌な)雰囲気。もう見た目だけでなく、全てにおいて、本当にこれがスティーヴ・カレルなのかと疑ってしまいます。

そんな最悪なお坊ちゃんの率いるレスリングチーム”フォックスキャッチャー”に、チャニング・テイタム演じるマークと、マーク・ラファロ演じる兄のデイヴが誘いを受け加入してしまいます。
観る前から分かっていたことなのですが「やめとけ!!!」と手を伸ばしてしまいそうになりますね。


テイタムの役がレスリング選手だと知って、自然とイメージが湧くし、実際に演技もビジュアルも完全になりきっていましたが、ラファロはレスリングどころかあまりスポーツをする役のイメージは無かったので、始まってすぐ2人の稽古のシーンは驚きました。なかなか仕上がっているではないか…。独特の仕草はそのままで、みていて少しホッとする瞬間が何度かありました。


総じてデュポンという男、家族の絆、人間の欲求…どの要素を取っても、もう一声という印象です。ただマークの葛藤という点で観ればなかなか深いドラマに感じられますが、最終的には「これが事件の真相」というところでもっていかれる内容でした。
誰もが「何故」と思うであろうデュポンのラストの犯行が、120分の全てを物語っているような気がしました。彼にとってキツネは所詮キツネだったのかもしれません。
Chiaki

Chiaki