ふゆ

チョコレートドーナツのふゆのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.1
家族になることは簡単でも、家族でいる(いつづける)ことのなんと難しいことよ、という映画でした。

母親は子を産んだら、望むと望まないとに関わらず、愛情の有無とは関係なく、世間一般的にはもうその子とは家族なわけです(産む困難さは措いています)。対して、ゲイのカップルと、言ってしまえば赤の他人の、障害を持つ男の子は、どんなにお互いを愛していても、現行の慣習の中では、家族関係を続けることは非常に難しい。半ば拉致のように奪ってきて、家族になってみることは簡単でも、法律と、何より周囲の目がそれを許してはくれないわけです。
家族は尊い!と、いうよりも、家族を続けることの難しさばかりに目が行って、非常に暗澹たる気持ちになりましたね。難しいから尊いんだけどさ。ひとつの家族が家族としてやっていくためには、本人達と周りの、様々な理解と協力と妥協と諦めが必要な訳です。つらい。

でも、ハッピーエンドではないけれど全般にそんなに悲壮感があるわけでもなく、ゲイのカップルと少年の家族は本当に可愛らしい。ハロウィンのシーンとか、思わず目頭が熱くなりました。みんなかわいい。ちょいちょい挟んでくる家庭用ビデオで撮影した的な映像もあざとい。だから余計に、こんなに楽しく、仲良く、愛情に溢れていてもダメなのか…と思ってしまうわけですが。

一目で恋に落ち出会ってウン秒で◯◯、一度は離れかけるも結局はお互いを選ぶ、という形は、いささか少女漫画的(もしくはBL漫画的)でしたが、テンポもありますし、あれぐらいの方が生々しいのかなとも思います。
邦題のチョコレートドーナツは賛否両論あるようですが、個人的にはとてもいいと思います。原題の歌も泣けるけど、訳しただけだと安っぽくなってしまうしね。

あと、ゲイクラブの踊り子たちがセクシーすぎて、性別とは…という気持ちになりました。
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