COZY922

チョコレートドーナツのCOZY922のレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
3.7
幸せが法や偏見に駆逐されてしまうのは残酷で哀しい。本来社会や人々の生活を守るはずの法が時として人を傷つける。ゲイや障害者などのマイノリティに対して司法や地域のコミュニティが冷たい目を向ける現実を改めて思い知らされる映画でした。LGBTであることと愛情の強さや保護責任能力は関係ないはずなのに、法廷でマルコの養育の話が同性愛の是非の問題にすり替えられていく様子に怒りを覚え落胆し最後は胸が詰まりました。そして思ったのは『自分はどうなんだろう?自分はマイノリティへの偏見や差別が一切無いと言えるのか?』ということ。これは映画であり言わば他人事。もし自分は同性愛者だと告白しそれを理由に普通の結婚はしないと告げて、認めて受け入れてくれる親がどれだけいるだろう?子供がいる人は、仮に自分の子から将来そう告げられたら認めることができるんだろうか?この映画を見て泣き、こんな理不尽は許せないと思ったけれど、自分と自分の肉親に置き換えて考えると私は正直自信がない。差別する気持ちは無いつもりでも正直戸惑う。その戸惑いの延長に差別があり、それがマルコのようなケースを生む根源じゃないかと考えさせられた。問題は根深く、簡単じゃないことを思い知らされる映画です。
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