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2つ目の窓のamのレビュー・感想・評価

2つ目の窓(2014年製作の映画)
3.8
余白があまりにも美しい映画
千鳥のネタで、「真っ赤過ぎてその辺の赤は白」っていう大悟が放つ大好きなセリフがあるんだけど、それを連想するくらい、冒頭の青すぎる青の海がまず美しかった。月が照らす雲が虹色の光を纏っている。風の轟々とした音、柔らかい音。葉と葉が撫で合う音。海はこの世界でいちばん大きな生き物。泡と刺青。ヒロインのうたう民謡。お婆ちゃんやお爺ちゃんの黄緑がかった肌、踊り。人を波に例えるお父さん。伐採される木(生死を扱った映画ではありきたりだけど欠かせない)。黒い雲の速さ、曇天の白い光。荘厳な山。何もかもが美しかった。死とは「永遠の里帰り」、そしてまた天から(或いは海から)この地に新しい誰かがおでかけにくる。
ヒロインの性欲の強さに最初は引いちゃったけど、彼女にとってはセックスが生命のエネルギーを一番感じられる行為として力が漲るものなんだろうな。木々の中でセックスする二人がアダムとイヴみたいだった。
裸で海を泳ぐ二人、世界の光を全て集めた青の中、いのちを感じる、人間は美しいね、生命って美しいね。


(河瀬直美のことをよく知れば知るほどこの映画が気持ち悪く思えてくるけれど一旦切り離した感想で)
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