スコット

太秦ライムライトのスコットのレビュー・感想・評価

太秦ライムライト(2013年製作の映画)
2.9
『5万回斬られた俳優』福本清三さんの佇まい、殺陣の美しさがとにかく光る。それだけでなく、時代とともに時代劇の需要がなくなりつつある現実も描いていて、なかなか深い内容の作品だった。ロケーションも完璧。

ただ、あれほどストイックで、福本さん演じる香美山を慕っていたヒロイン・さつきが東京で売れ出し、その後京都に帰ってくる時の格好がステレオタイプが過ぎて痛々しくて(そもそもそんな浅い性格じゃなかったと思うし、東京が人間を変えるという表現であっても行き過ぎ)、そのあたりの件をもう少し丁寧に描いて欲しかった。
そして終盤、あれだけ時代劇を嫌っていたさつきのマネージャーが、唐突に香美山さんの肩をもったりと、人物描写が非常に甘いように感じた。

それとこれは仕方ない事だけど、主演の福本さんは今まで演じてきたのがほとんど台詞の無い役だったために、今作でも言葉が聞き取りにくく、全体的に棒読みなのが目立っていたのは残念。
拍子抜けするほどにバッサリ映画が終わるのも個人的には好きだけど、よくよく考えると全く意味不明なラストではある。
スコット

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